ゆったりとした時間
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「落ち着かないのでしょう」とあすかさんは妹のともかさんに話しかけました。「わかりますか」と妹。せっかくこの2人に、ゆったりしてもらおうと妻が企てたメニューなのに、2人はしばしば席を立って手伝いだそうとするのです。 話は弾みました。ともかさんが2歳の時から包丁を持ったことを話題に選んで、「良かった」と思いました。実は、私の自慢話につなげようとしたのですが、両親の教育方針だったと分かり、腰砕けになりましたが、それだけに良かった。 私は、ともかさんが両親の留守中に包丁を持った(のを姉が見ていた)のではないか、と思っていたのです。母親のちあきさんが持たせていたのです。ままごとの(切れない)道具ではなく、本物を持たせることで学習させた、と姉のあすかさんが目撃談を誇らしげに紹介しました。 まさに、一刻も早く小さな大人に育てようとの親の愛情であったのだと思います。キットあすかさんの心には、自分も両親から、これと同じような愛情を注がれていたに違いないと確信した時の記憶がよみがえっていたのではないでしょうか。 この両親は、子どもたちが不思議に思うぐらい、何時間も2人で毎日のように語らってきたそうです。とりわけ子どもの健康と教育について語らったことでしょう。その結果、高校生活には留学を選び、次々と手元から離したのではないでしょうか。 ちなみに、私の自慢話とは、妻から聞かされた受け売りです。私が「ともかさんが包丁を2歳から持ったって、すごいね」と妻に語り掛けたときに、妻は母から聞いた話を持ち出したのです。私は1歳半でハサミを使い、祖母の帯を切った、とのエピソードでした。 この姉妹が優しさと受け止めることは、私たち夫婦にも優しさ、と写ります。同様に、この姉妹が厳しさと受け止めることは、私たち夫婦にも許しがたいち厳しさ、と理解できます。 それはともかく、この2人は、311後、何にもない状態からTOSCAを始め、3周年を終え、新しい1年に踏み出しています。 |
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