35年ぶりに再開です。今年は連作が難しいキュウリとトマトまで幾次にもわたって育てましたから、今さらながらの作業に取り組んだのです。畑の、どこに何を植えたのかを記録する作業です。物忘れが進んでいますから、記憶だけではおぼつかないと思ってのことです。
実は38歳の時に初めて一般紙(日経)の取材を受けましたが、そのころまではキチンと記録していたことです。そのノートを記者に見せて関心を示してもらったことを思い出します。当時は会社で多忙を極めており(常に10数件のプロジェクトに関わるような仕事でした)、週末の庭仕事はブルドーザーのごとく動いていたのでしょう。
つまり、農作業そのものを楽しんでいたわけではなく、頭に描いた人生設計を具現化する意義に燃えていたのでしょう。その一つが、野菜の自給です。何を育てるべきか。育てられるのか。いつどこで何を育てたらよいのか。分からないことだらけでした。当時は、「家庭菜園のススメ」のような雑誌などありませんでしたし、農業自体が様変わりしつつありました。農業の工業化です。農薬や化学肥料を信奉し、機械化を進めていた時代です。
やむなく、幼いころのうる覚え(母が取り組んでいた農業)を思い出し、ブルドーザーのごとくがむしゃらに、頭に描いていた信じるところを形にしていたわけです。
そのエンジンが今ではガタが来ていますし、記憶力の減退もはなはだしい。これは寂しい限りであり、さまざまな補填策が必要だと自覚しています。その1つの補填策としてこの記録作業を再び取り上げたわけです。
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