要は煙に巻かれたようなオチ

 

 かつて10年ほど、毎年友人に誘われ、年に一度は賞味していた味なのに、この10年ほど(その友人が夭逝して以来)忘れていました。その後、一度妻を誘ってみたことがありますが、こうした誘いに乗る妻ではありません。

 このたび、その美味の食材を、しかもとても鮮度の良い状態でくださった方があったのです。一も二もなく調理法を指定し、妻と一緒に、しかも大量に味わいました。おまけに、えびすのハーフ&ハーフの肴にしてくれましたから「言うことなし」でした。

 ほろ酔い加減で次に用意されたのは、「なんと」ニラがたっぷり刻み込まれた粥でした。キュウリの浅漬け、焼きたらこ、塩こぶ、そしてチリメン山椒が添えられていました。これも「言うことなし」とご満悦の私。ここで、やおら妻が次のような講釈を加えたのです。

 この日の朝食は「41年来、2度目では」と思われるホットケーキを主にしたメニューでした。それに合ったお茶の他に、野菜たっぷりのベーコン炒め、そしてヨーグルトがたっぷりのデザートがついていました。3たび「言うことなし」が続いたのです。

 「ですから」と、妻が「昨日の残りのご飯を使わずじまいになっていました」と語り始めたのです。朝食を洋風に替えたから、残してあったご飯が残ったわけです。昼に嗅いで見ると、プーンと匂いがしたようです。そこで、水でしっかり洗って水を切り、残しておいたわけです。

 「匂い消しにはニラがピッタリでしょう」と、と妻は胸を張っていました。

 「通りで」いつもと違い、ニラがたっぷり入っていたんだ。それは喜んでいいのかどうか、と思いました。なぜか煙に巻かれたような心境にされたのです。

 今にして思えば、「よくやった」との、私の評価を求めていたのかもしれません。事実、「でかした、わが女房」と思っています。