楽しいひと時
|
このところ後藤さんは朝の散歩を続けている。それも毎朝、日替わりコースで10数キロも歩いている。おかげで、これまで知り得なかった現実に触れたり、見えていなかったことが見えてきたり、と楽しいことが多々あると言う。 [防犯カメラにも良き一面がありそうだ]との発言に、「ン?」と思わせられたり不思議な気分にされたりした。「お天道さまが見てござる」の感覚を再び浸透させ得るのではないか、との説明に、希望的意見かも、と考えた。なんでも、お地蔵さんでは賽銭ドロボウにとどまらず、お供えした花を盗む人も出現する世の中になっているようだ。 もちろん私は、防犯カメラなど反対ダ。こんなものを必要とする世の中が嘆かわしい。日本までがこんなものを必要としている限り、日本は浮かばれない、と思う。こうした想いにふけっていると、後藤さんから次の話が飛び出した。よく私も知っている寺院で生じた話だ。 「三脚持ち込みお断り」の張り紙があるのに、三脚を使っている人がいた。入山受付の人(後藤さんの顔見知り)に事情を聴くと、「この手の人」は言っても耳を貸してくれない、と困り顔。そこで、後藤さんは一計を案じた。 まず、顔見知りの受付から入山料を預かった。次いで、現行犯人と話し合った。そこで、預かった入山料をその「似非カメラマン」に示し、山門まで引き連れて行き、入山料を返し、追い出した。その上で、「二度と来るな」と怒鳴った。 顔見知りの受付に「スッとした」と喜んでもらえたようだ。 恥ずかしながら、実は私も、この話を聞いて「スッとした」。 |