「もどき」
 

 アフリカを旅行するたびに考えさせられることがある。その1つが南北格差の問題である。あるとき、ダチョウの卵殻などで作った首飾りを観た。こうした首飾りの創出と保有が豊かさや幸せなどのシンボルだった、という。当然だろう。完全なる自由と創造の時空が生み出させた賜物と見える。

 そうした豊かさや幸せなどを志向していた最中に、白人が侵入し、経済戦争の火ぶたを切った。ダチョウの卵殻などでこしらえた首飾よりもはるかに精巧に見えるガラス玉の首飾りなどを持ち込んだわけだ。人々は、その「もどき」の保有に憧れ、完全なる自由と創造の時空を忘れがちになった。「もどき」が次々と欲しくなって、象牙だけ求めた象狩りに狂奔するなどし始めた。
 

ダチョウの卵殻などで作った首飾り

ダチョウの卵殻などで作った首飾り

ガラス玉の首飾りなどを持ち込んだ