わが家の弱点の1つ
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わが家には幾つかの弱点がある。その1つが「地震対策」を必要とさせる薪風呂だ。しかしそれが、逆に、わが家の健康対策でもある。妻は病院知らずだし、私も人間ドックなどに(会社や学校の制度でやむない場合を除き)行ったことがない。また、両親は共に、享年93歳まで、私たちより頭が冴えていた。 薪風呂の「地震対策」とは、薪を燃やして風呂を沸かしている最中に、もし大地震が来たら、出火原因になりかねない、ということだ。とりわけ妻が焚くときは「ながら族」になるだけに危険だ。 妻は太い薪を焼き口に放り込んで焚きながら、夕食の用意をしたり、洗濯物をたたんだりするのが常だ。薪は、太い薪だと15分に一回足す程度で十分だから、妻はいつも「ながら族」を演じている。 普段は、2人が揃っている時に焚き、火災の危険性軽減と、薪の節約を旨としているが、この日は、出張帰りの私のためにと思い、早めに1人で「ながら族」をしながら焚き始めたのだろう。この日は私の帰宅時間がとても中途半端だった。 車から私は先に降りて、温度計道を上っていると、とても良い煙の香りが漂ってきた。ヒノキの香りが主だった。知らぬ間に深呼吸をしていた。 わが家の薪は、間伐材とか大がかりな剪定から出るクズの木だから、さまざまな樹種が混じっている。来客時は意識してクスやヒノキなどを用いるが、この日はたまたまヒノキが混じったのだろう。その香がまさっており、とても心地よかった。 それにしても、ここまで香りが濃厚にたなびくのは、妻なりの工夫を施したおかげであろう、と思った。つまり、私の電話を受け、最寄り駅まで車で迎えに出る前に、急ぎ整えた工夫であろう、と考えた。急ぎ風呂の焚き口に走り、良く燃えていた薪の火勢をいつでも元の火勢にせるように配慮した、留守にする間の地震対策だ。 ダンパー(煙突への煙の流れを調整する)を差し込み、さらに空気の取り入れ口を絞り、火勢を急に落としたために、燃えていた薪が酸欠になって一帯に煙をたなびかせ、香りを漂わせたに違いない。実に良い香りだった。 それにしても、この香りを良い香りだと感知して、深呼吸させた己の体が嬉しかった。こうした「木の精」が宿った空気を常日頃から吸っていたら、アトピーなどには悩まされずに済むはずだ。間違いなく、花粉症にはならずに済むに違いない、と私は思っている。 |
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さまざまな樹種が混じっている |
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