境界線の相談ごと

 


 この度、わが家の隣地のお宅の持ち主が変わった。その関係で、不動産仲介業者と登記測量事務所が訪れ、境界線の明示を求めた。

 問題はおおむかしのことだ。前の持ち主が、私が40日の海外出張中に独断で境界線を決め、コンクリートの擁壁を設けた。幸いなことに、前の持ち主の相続者は、新しい持ち主(間違いなくこの不動産仲介業者)に、この問題を伝えてくれていた。だから、私は、今更境界がへこんでいるなどと言いだすつもりはないが、聞き及んでいるという擁壁のあり方を取り上げた。それが建築基準法にあっているか否かを確認し、あっていなければ直してほしい、と申し入れた。つまり、既成事実を容認していないことを明確にして、その仲介業者に新しい持ち主に伝えておくように依頼した。

 この仲介業者は、新しい持ち主は「文化を大事にするとおっしゃる人だから、大丈夫でしょう」といったが、「その言葉だけでは応じられない」と言って登記測量事務所の人が望んだ境界線を明示する印をつけることを断った。

 「文化を大事にする」という言葉は、昨今ではあまりにも曖昧になっている。