2つの理由で「手動」にしておけばヨカッタ

 

 この部屋の建設当初から、遮光を思いついておくべきでした。そうしておけば、遮光に要する既製の機材を設計に組み込み、もっと合理化でき、完成度を(隙間を減らして遮光率を)高められていたことでしょう。

 電動にした理由は、手動にした場合に生じる不細工を避けるためでした。手動で遮光スクリーンを動かそうとすると、紐で引っ張って開け閉めしますから、天井部分から壁面にかけて滑車を幾つか設け、紐を張らなければなりません。その不細工を避けました。

 問題は、電動機器は毎日のように動かしておかないといけない、と、聞かされたことです。先方にすれば、それが常識で、長期間にわたって動かさずに放置しておくと、モーターなどが故障する(油が固まるなどして動かなくなる)率が高くなるようです。

 このたび、これに似た現実の問題に、つまり電動時計で、直面させせられています。止っていたことを知りながら、電池を替えずにスペイン旅行に出かけました。案の定、帰宅してから電池を入れ替えましたが、動きません。もちろん、打つべき手をうち、動かそうとしますが、それは壁掛け時計だから(電気ドライヤーで温めえるなどして)試みられることで、大がかりなこの電動の遮光機械はそうはゆかないでしょう。

 この足場をまた組み立てなければならないのか、と思うだけでゾッとします。

 なるべく自然光で人形を見ていただきたい。それが節電にもなる。そう願って天井窓を設けましたが、「よかった」と思う反面、問題点にも気付かされました。人形の「日焼け」などの問題もさることながら、昼間に室内を薄暗くして用いたことも生じるのです。

 手動にした方が、工事費はむしろ安くついていました。高くついてもよい、不細工さもさることながら、開け閉めする面倒も避けられる、と考えた横着が失敗の元でした。

 手動にしておけば、大工さんの仕事(手間賃)を格段に増やせていたわけです。それが、これからの時代を幸せに生き抜くうえで優先すべきことでした。第一、それが、オリジナル率の高い遮光設備となり、大工さんに創造力を振り絞ってもらえたのです。