半ば分かった

 和装がお似合いの(和装姿しかしらないが)とても和やかで、穏やかなご婦人、だが、70年安保時代の人であり、「デモまで、できませんでしたが、よくサシイレをしたものです」と、それは熱を入れられたご様子。

 ご主人の話が出た。バブル時代に事業に失敗。それはひどい目に合われたのだろうが、達観された(?)ご主人が「余計に、好きになりました」とのこと。

 お嬢さんも話題になった。今は小さなビジネスを立ち上げ、存在意義を見定めた、と言ってよいご様子。いつの日にかこの目で、その様子を、得心したい、と思った。それはともかく、その資金作りに、感心した。

 親の面倒にはなりたくないといって、まず由緒ある和風サービス業に応募。勤め始めてほどなく、老舗ゆえに(選択眼に自信があるから)と思うのだが、仲居頭に選ばれてしまった。きっと、その館の主は、「この女性は存分に働く『権利』を得た、と言ったような勤労観の持ち主に違いない」と見抜いたのだろう。いわば、仕事に恋する人、と見たのだろう。

 「私を側においてくれたら、きっと手放せない人になってみせる」といったような恋をする人がいる。そうした意気込みと心意気だけでなく、性格の持ち主と見抜いたのだろう。
 
 だが、このお師匠さんは、「厳しく躾けておいたのがよかったのでしょうネ」とのご意見。それもそうだ、と思った。

 アイトワの空間で、このお師匠さんのまた新たなる一面に触れる機会を得たい、と欲を湧かせてしまった。