父親のように扱ってもらえた

 

 ホテルでピックアップしてもらい、会社を目指している道中だった。「これは」と、思った。前日も、腹をくだしていたからだ。

 「会社には、どこに」と、朝礼会場の近くのトイレの位置を訪ねた。

 「コンビニに寄りましょうか」、と言ってもらえた。それは助かるし、安心だ。

 さて「何を買おうか」と小銭入れを持ってトイレから売り場に戻ると、車で待ってくれるように頼んだ人が、レジで支払いの最中だった。「会議で出せば」とのアメだった。

 私はレジの人に「この(買い物をした)人の知り合いダ」と分かってもらえることを期待して「ありがとうございました」とだけ言って済ませた。朝礼には、ゆうゆう間に合った。

 朝一番から、認知症予備軍にとってはありがたい始まりだった。