道具が安い
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「1万円以下なら買ってほしい」と言って、家を後にした。太い枝を切り取る両手操作の剪定バサミを見失い、探しても出てこなかったからだ。これ以上探していたら、日が暮れる、と思った。だから、材木を買いに行くついでに、1万円以下なら、となった。 材木はなかったが、見失った両手操作の剪定バサミの類似品は2つあった。ビールのジョッキに例えれば、わが家で見失ったものは小型ジョッキ。店頭には中型と大型があった。 「ヨカッタ」と思った。まず大型に手を出したが、妻が口を挟んだ。「重すぎない。これからどんどん歳を取るのだから」。言われてみれば、「そこまで太いのは、ノコで切ったほうが良いだろう」と思い、中ジョッキのタイプを選んだ。その上で値段表示を探した。 ナント、3000円以下だった。思わず妻と顔を見合わせ「安いネ」とつぶやいた。 ノコギリと剪定バサミでさばいたら、1時間ほどかかりそうな剪定を、これがあれば10分ほどで済ませられるのではないか。非力になるにしたがって、便利になる。しかも、生きている間に、幾度となく活かせるに違いない。「道具は安い」とつくづく思った。 |
中ジョッキのタイプを選んだ |
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