真の愛国心
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北風と太陽で言えば、この人の小柄で繊細な体に「太陽」を見た。この逆は、分かりやすい例で示せば、安倍首相だろう。「北風」と見てよいだろう。 この人は、日本人と中国人を両親とするいわゆるハーフのようだ。それだけに、両国のことが両親のごとくに気がかりに違いない。だがこの度の話は、それだけではなさそうだ、といつしか考えるようになっていた。 この人も工業社会の破綻を見通してきたようで、遅ればせながら工業化に踏み出し、急速に欧米化に走る中国に対して、一抹の不安を抱いているようだ。その点では日本は先輩国だ。その先輩国で、一足早くその間違いに気付いた私の意見と、私の実践例、つまり工業社会にあって、個人で打ち得る手を打ってきた私の実例を、中国の人たちに紹介したい、と思ってもらえたようだ。それが、長い月日を翻訳に割いてもらえたのであろう。 こうした心こそ、両国に対するこうした心こそ、大切にすべきではないか。かつて私は、短大生によく引用した言葉があり、それを思い出した。「一隅を照らす。これ国宝」だ。当時の心を思い出し、なぜか昨今の北風をあおるような風潮をとても不気味に思った。 間違っても、私が幼かった頃の、あの「一億総活気」を求めた風潮を再生させてはならない。被害の原因である加害を忘れさせたり、被害を生み出させた頑張りを国の礎であるかのように賛歌したり、密室でことを計らったりする風潮を、決して宰燃させてはいけない、と思う。 |
風潮。「トランクの中の日本」ジョー・オダネルの写真店のポスター |
密室でことを計らったり |