日独対比

 

 友人は、今はウイーンに滞在していると知らせてくれただけでなく、その想いを長文で教えてくれた。私は初めて「カプチーノ」を知ったウイーンの喫茶店を思い出しながら、読んだ。そして、その末尾をいかに結ぶの過渡期にし始めた。

 「脱線し、長くなりましたが、最後に、ご健康で、よきクリスマス、よき新年を迎えられることをウイーンの地で心からお祈りいたします。帰国すればビールやワインを飲みながら、歓談できる機会があればうれしく存じます」とあり、今年は京都で再会し、ビールのジョッキを傾けた幸いを振り返った。

 もちろん、いつものように追伸のごとき一部に繋がった。

 「この1-2日に写した素晴らしい景色や光景のロマンチックな写真のうち、ごく数枚を以下に掲載しておきます。さらにウイーン、南チロル、フィンランド等何百枚、何千枚とクリスマス、ジルベスタ―(大晦日)、冬景色の写真を写しますので、わが家までお越しいただければ大きな画面でお見せできるでしょう。

 なおこのような綺麗な写真の背後に、ドイツでは難民の問題により、以前から益々強くなっているネオナチ、右翼系の反イスラム・反外国人運動が広がっており、こういう連中による難民収容所や住宅への放火事件、暴力事件が日常茶飯事に発生、日本のそれとは比べ物ならないほどのひどいヘイトスピーチがドイツで蔓延しつつある事情を忘れてはなりません。

 もちろん良識派の人々の反対勢力や難民を擁護しようとする市民の反対運動も強く、ナチが台頭したワイマール共和国時代のドイツとは比較はできません。

 ドイツには犯罪的な過去があります。ナチドイツのような特定人種の抹殺を図るというほどではなくても、日本の軍部、軍国主義者、全体主義者による侵略、植民地化も日本にもあります。国民もこれに加担しました。

 ドイツ人と日本人の差は国民の多数が加害者として意識するか、被害者として意識するかだと言われます。難しい問題です」。これがこの人の本当の結びだ、と私は肝に銘じた。