昨年の阿部ファミリーと一緒に迎えた元旦は大雪だった。その後、昨年は天候を読み。だがその「読み」は完全に外れた。
昨年の晩夏(市場では野菜不足で、値上がりに閉口していた頃)に、冬に向かってさらに私は野菜が不足するに違いない、と見込んだ。だから急いで、例年にない手を打った。そのおかげで、予想以上に野菜が順調に育ち、喜んでいたのだが、市場でも余り気味となり、とても安値で売られるようになっている。
妻は、「この(大きくて見事に育った)カブラが100円ヨ」としきりに、安売りされる野菜を気の毒がるほどだ。おかげで、わが家では、妻が手作りの千枚漬けに初挑戦する気分になり、その真の味を体験できた。その真の味とは、まず包丁で一枚一枚切ることによって求め得たものだ。漬け方は単純明快であるだけに、その厚さの微妙な差異が、漬かり具合などに微妙な差異を生じさせ、決め手になる。その差異が、えもいえぬ実妙な味の差異を楽しませる。翌日から食し始め、5日ほどかけて食べきったが、楽しかった。
だからと言って、喜んではおられない。生産事情を推し量れない人には、この安値は油断の元になるのではないか。「高値の時はモヤシ(など、値が上下しにくい品)でも食べてしのげばよい」「また、すぐに安くなる」と油断させるのではないか。
新果樹園では、今もキケマンの狂い咲きが続いている。昨年では考えられなかったことだ。こうした異常が、目先の野菜の値動きにまどわされ、異常を感じさせなくすることもありそうだ。ちなみに、TPPでは、アメリカは未来の異常を読んでおり、日本は目先の気休めに神経をとがらせ、交渉に臨んでいたのではないか。
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