身につまされるニュースや嘆かわしいニュース

 

 愛想がつきたニュースは、原発再稼働問題であり、最も身につまされたニュースは「哲学の木」の伐採だった。あきれ果てたニュースもあった。それは東電が明らかにした炉心溶融問題だ。

 わが家ではかつて、公道から丸見えだったクヌギの成木を、不本意ながら伐採したことがある、それだけに、この「哲学の木」の伐採は他人ごととは思えなかった。

 樹齢20年ほどのクヌギであった。とてもたくさん蜜を出し、カブトムシやクワガタムシをたくさん惹きつけた。それが禍の元になった。夜陰に乗じて、生け垣を踏み越え、虫捕りをする人が後を絶たなくなったからだ。不気味であったし、情けなく感じもした。ついにはバカバカしくなり、伐採した。蜜を出す木に傷をつけ余計に出すようにする人まで現れたからだ。豊かな蜜を出すクヌギが哀れに思われてしまい、切り取った。

 イギリスでは、ゴリラの帝王切開出産が試みられ、子どもだけでなく、母親も救えた、と知った。ゴリラは「子宮も人間と同じだ」とは、医者のコメント。

 そのイギリスでは、ロンドン市長がEU離脱派となってキャメロン首相と対決姿勢を露わにした。このニュースに接した時に、ふとアメリカの歴史を思った。かつてアメリカは、ポンド、マルク、フラン、あるいはリラなどが流通し、人種もまちまちの複数の国家の出先のごとき存在だった。それは、第2時代(農業文明)から第3時代(工業文明)への過渡期の現象だろう。だがその後、ドルで統一され、工業文明の盟主のごとき国になっている。そのアメリカで、トランプ候補が善戦しはじめており、目が離せない。

 アメリカはこれからどうなるのか。ブッシュJr,が大統領になった時から私はアメリカ旅行を控えた。オバマ大統領になっても行く気になれなかった。そのわけが、このたびの大統領選の様子で分かったような気にされた。世界の盟主たりえない。

 EUはどうなるのか。気がかりだ。イギリスの動きが注目される。だからかつてはアメリカを誕生させたわけダ、との評価を追認させるようなことになるのではないか。EUに留まってほしい。それは大きさを求めるためではなく、逆だ。小さな教区を護る手段として必要なことだと思われる。

 このたびのアイトワ塾では、誰かが、日独は同じ敗戦国だが、との問題提起もした。誰かが、日本は被害に執心だが、ドイツは加害に熱心に取り組んできた、と言った。ドイツは、第2次世界大戦時の爆撃で粉々にされた第2時代(中世)の街並みの復元に熱心だが、日本は今もその破壊をし続け、第3時代風の街並み造りに執心している。また、市町村合併をして、次代の要請に逆行している、と気付いていない。

 とても気になった気象問題は、フィジーを襲った史上最大のサイロン。瞬間最大風速は90mであったとか。これまで考えられなかったような天災が、また生じた。

 このところ、酷い天災は免れている日本だが、世界における日本の評価は下がる一方だ。国民に神話のごとく安全を信じ込ませてきた原発はガタガタだ。東電では、今頃になって重大な瑕疵、つまり炉心溶融問題があったことを表明した。隠し通せなくなったのだろう。かつて首相は世界に向かってコントロールとかブロックなどの言葉を用いてこの問題の安全性を吹聴したが、何を信じて、あるいは根拠であったのか。首相は騙されていたのであれば、烈火のごとく怒らなければならないはずだ。

 近年の自民党のありようが気になる。こうしたことを、頬かむりしたいのではないか。国民の財産や生命を真に脅かす問題を、つまり真実を国民に知らせる報道を制限しようとする態度がとても気になる。すでに、日本の透明性は極端に低下している、と作家の高橋源一郎氏は「世界報道自由化度ランキング」が急落したことを嘆いている。民主党政権時代の日本は11位であったが、昨年3月時点では61位と先進国では最下位に落ち込んだ。総裁再選時の記者会見にいたっては、外国人記者を受け入れず、日本の記者も自民党記者クラブに所属する記者に限っている。
 

炉心溶融問題
 

「哲学の木」の伐採
 

重大な瑕疵

 


真実を国民に知らせる報道