落ち着かない様子
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仁美さんにとって、このたびの3泊4日の旅は久しぶりの長旅だろう。この夫婦は新婚旅行でアジアからヨーロッパにかけての長期にわたる特殊な旅をしていますが、仁美さんにとってはそれ以来の長期(わずか3泊だが)ではないか。 「昼寝でもすれば」と勧めたものの、無理だろうナ、と思った。帰り支度の洗濯をしながら、宿泊した部屋とか用いた台所などの掃除をし始めたのだから。 この夫婦の長期にわたる新婚旅行も、創造性を発揮するいわば人助けによって成り立たせる旅であったのだから。しかも、その旅の間に、寿也さんは幾度か仁美さんに命拾いさせてもらうような旅でもあったようだ。 寿也さんは、新調した井戸蓋を(花連を預けに来た時に旧来の蓋を持ち帰り、造り上げて)持参し、調整して人形工房の床にはめたり、妻の要請で書庫の棚に新たな最下段を設けたりしていた。 そして昼近くになると、2人はわが家のキャベツを用いて昼食のお好み焼きを造り、妻の手を休ませた。かくして、小倉山に出かけたのだが、帰って来てから寿也さんはもう一仕事、思い出になる仕事をした。 それは、書庫周りの南西の角を仕上げたくて2枚の大型U字溝の蓋を取り寄せてあったが、それを活かす作業だった。寿也さんに、寿也さんなりに仕上げてもらうことにした。 書庫をつくるためとはいえ、モクレンの根元を随分傷つけてしまった(1月26日)。だからと言って、その根元を優先して土を埋めると、書庫の基礎部を埋めることになり、その土で「書庫を湿気させかねない」と大工さんに注意された。 そこで大型U字溝をはめて空気抜きをする空間を設けたわけだが、その後をどのように始末すべきか、と思案していた。私の案は、むき出しになっていた根を土で覆うために、U字溝の上に土留めの石を見かけ良く並べよう、という程度だった。それでは、そこはとても通りにくくなっていたに違いない。 ところが、寿也さんは、覆ったU字溝がすべて隠れるように石を並べる方式を採用した。そして、その覆った石の面が平らになるように大小さまざまな石を選んだ。この方式は、私の案とは異なる美しさであるだけでなく、その面の上が歩き易く、一段次元が上の出来栄えである、と私は思った。 なぜなら、今後とも書庫の板張りを塗装すべきだし、狭い裏道じたいの落ち葉掃除もしなければならず、この狭い隙間に踏み込まなければならない。また、たちまちにして、この隙間の奥の(北側のキンモクセイとフジの根元も傷めたので)補修工事をしなければならない、その工事では土留めに要する重い荷物(コンクリートブロックなど)を持ち込まなければならない。その時にとても便利だ。 |
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『調整して人形工房の床にはめた |
書庫の棚に新たな最下段を設けたり |
2枚の大型U字溝の蓋を活かす作業だった |
モクレンの根元を随分傷つけてしまった |
一段次元が上の出来栄え |
隙間の奥の補修工事をしなければならない |