教材

 

 まだわが家の白い方のテイカカズラの花も幾つか残っていた。だから香りをかいでもらった。同時に、このピンクの方も嗅いでもらった。ピンクの方は匂わない。

 そこで、白い花は、野生種の場合は特に、多くは夜に咲く、と話した。昆虫に見つけてもらいやすくするためだろう。その関係もあって、夜に咲く花は、芳香も豊かだ。

 対して、赤い花など派手な花は、昼間に咲く場合が多く、芳香に頼らない。

 そもそも、と訴えた。植物とバクテリヤは、生産者と還元者の関係であり、相助け合って存在している。どちらも欠くことができない存在だ。その点では、動物は、この2者の関係に割り込んだような存在で、消費者にすぎない。

 とはいえ、クルミにとってはリスが、苺にとってはハチが、と言ったように、今日ではリスやハチがクルミやイチゴの繁殖にとって不可欠の「しもべ」の存在になっている。

 この認識に欠けたところに、人間の繁栄があり、悲劇もある。だから、好戦的であったり、排他的であったりする人に惹かれ、多くの場合はひどい目に合わされてしまう。要注意だ、とまでは言わなかった。


 


ピンクのテイカカズラ