ロンドンオリンピックは、ロンドン郊外の、過去の繁栄の地を再開発する手段として活かされた。かたや、東京オリンピックは、首相の大ウソで誘致が決まったような印象だが、その後も期待は次々と崩されている。
ロンドンオリンピックを上回る意義が隠されているに違いないと期待していたが、その後次々と発覚したインチキや八百長だけでなく、間抜けた再検討などが続き、今やどす黒い金が2億3千万円では収まらず、11億円もの巨額までが裏で動いていた恐れがある、と知るに至り、大丈夫かいな、にされている。
その上に、この度の東京の知事辞職が続いた。要は、オリンピックは「不正の温床」、ないしは「タカリの対象」にされたようなもので、薄く広く掻き集められた税金が、好き勝手に空費されたかのような印象を抱かされつつある。
もう、オリンピックの時代ではないだろう、と思う。人類史におけるオリンピックの役目は、もう終わったはずだ。もちろん歴史の変わり目に、有終の美のごとくに活かす手がないでもない。先のロンドンオリンピックがその好例だろう。
間違っても、政権の人気取りや目先の景気づけに活かしたり活かされたりしてはいけない。問題を先送りさせるだけだ、この調子だと、その悪しき好例となりかねない。
日本国民にはロンドンオリンピックを凌駕する能力は充分にある。リーダー次第だ。活かしようだ。そのためには、打つべき手を、打つべき時に、打たなければならないが、このままだと、ズルズル、ダラダラと流れゆきそうな現況である。
ロンドンオリンピックの意義は、ロンドンから少し東に離れたローワーリーバレイという地区の、再開発の手段として活かされた点にある。ここは、産業革命が生じた当時の繁栄地であり、工業社会の弊害に気づいていなかった人々が、うかつにもさんざん汚してしまい、ゴーストタウン化させていた地域だ。その再生がロンドンオリンピックに期待され、堅実化された。
ロンドン市は、と、IOCへの申請書に「オリンピックを開催し、その跡地に大きな公園を作り、その周辺に新しく持続可能なまちを創造する」と明記していた。と、鬼沢良子さんたちは『オリンピック・パラリンピック ロンドンに学ぶ「ごみゼロ」への挑戦』で述べている。ロンドンの市民と行政の長い間の夢の実現が目的であった
約200の企業の建物があったが、すべて他の場所に移転。会場予定地周辺には高さ65mの送電用鉄塔が52基あったが、すべて撤去。これらの解体作業で出たレンガ、コンクリート、あるいは鉄筋などは、すべてオリンピックパーク会場作りに再使用。
オリンピックパークには、4000本以上の樹木と30万株以上の低湿地植物が植えられ、鳥の生息地になるように750もの小鳥の巣箱が設置された。
その後、9つの保育園、2つの小学校、そして1つの中学校が造られており、これから8000世帯が住める住宅棟の建設が予定されている。つまり、オリンピック後を明確に意識し、「オリンピックの財産」として育む哲学と姿勢を明快にして進められた。学ぶべきことが多々ある。学んでほしい。だが、期待薄になってきた。
そもそもが、不純な考えに汚染されていたからだろう。アベノミクス、アベノミクス、と叫びながら、人の弱みにつけ込んで、戦争が出来る国にするのが狙いであったのだろう。現実が、その流れに沿っているのが論より証拠ではないか。本来なら、一番怒らなければならない層が、詭弁に載せられて植民地政策を支持したかつての雰囲気に似て来た。
OECD調べでは、日本は一人取り残されている。先進20カ国の中で、賃金ランキングが大幅に下がっただけでなく、賃金そのものが下がった唯一の国になっている。アベノミクスは大金持ちを太らせ、貧しい人をますます貧しくしていたことになる。
2014年で言えば、日本は19位で、36,627ドル。17位の韓国36,653ドルや、18位のスペイン36,013ドルにも抜かれた。だが、アベノミクスを今度の選挙では争点にする、という。アベノミクスを止めたら、もっと悪くなるぞ、と脅しているようなものだ
バブルがはじけた1991年、日本は9位で、36,152ドルだった。10位ドイツの36,781ドルを上回っていた。ドイツはその後も、戦争の加害を国民に知らせに続け、国民の真の結束と周辺国の信頼獲得に努め、2014年は12位とランクは下げたが、43,873ドルと伸ばし、なおかついまやEUの盟主のごとし、になっている。
かたやわが国は、加害を隠しに隠し、今や中国や北朝鮮だけでなく韓国とも陰険な仲にしてしまい、孤立化し、好戦的な心境になるように国民を追い込んでいる、と言わざるを得ない。その韓国は1991年時点は20位と最下位で、24,308だったが、今や日本を上回ったわけだ。
首相は、「私は立法府の長」と間違った認識を、再三にわたり胸を張って主張したが、この間違を重ねさせた裏には何が隠れているのだろうか。
日本弁護士会は2008年に子供向け絵本を作り、「憲法って、何だろう」と問いかけている。そして子どもたちに、「リーダーが決めるルールが『法律』」「リーダーを縛るルールが『憲法』」と教えている。裏に隠れている何かは、この縛りを解くことであるに違いない。東京オリンピックも心配だけど、今の日本も心配だ。大丈夫かいな。
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