先週は首相の「新しい判断」との詭弁にあっけにとられた。
前回の総選挙では、「消費増税を再び延期することはない」と固い決意を示し、アベノミクスで「増税できる経済状況に持って行く、断言する」と言って選挙に勝った。
この度は、「新しい判断」という一言で「消費増税を延期」する、と固い決意を反故にしながら。アベノミクスは成果を上げている、と主張。そのやり口でまた選挙に勝とうとしている。オカシイではないか。
かつて私は、首相は稀代の結婚詐欺師タイプだ、と断じたが、その正体露わになったといってよい。選挙民に、まるで結婚詐欺師のごとき迫り方をしている。
「挙式を再び延期することはない」と固い決意を示し、私の爽やかな弁舌で「挙式できる家庭状況に持って行く、断言する」と言って、怪しげなところ(後述@)へ誘い込んだ。
この度は、「新しい判断」という一言で「挙式を延期する」と、固い決意を反故にしながら。私の爽やかな弁舌は成果を上げている、と主張。そのやり口でまた怪しげなところ(後述A)に誘い込もうとしている。といった状況ではないか。
@ 憲法に違反して海外派兵が出来る国に変えた法律の強行採決。
A 海外派兵はもとより戦争が出来る国へと憲法を変える新手の画策。
結婚詐欺師なら、次のように相手の心を読み、次の一手でまた心のカギを忘れさせたい、と願うところだろう。魂まで奪い、抜き差しならない状況(後述B)にまで追い込めた相手だ。まだまだ甘い汁は吸える。「まずはこの手で、もう一度」と、ばかりにこうささやくことだろう。
「挙式は延期するだけだ」。私の「なめらかな弁舌の駆使をやめてもよいのか」と自信満々にせまれば、まだイケル、すがり付いて来るに違いない、と。
B 不定期労働など不安定な雇用状況や相対的貧困層の増大さなど、未来を見通しがたく心もとない心境。
つまり、ここで「アベノミクスをやめてもよいのか」と迫れば、「お願い、頑張って続けて」とすがりついてくるだろう、との読みだ。
余談が過ぎた。
私は、あるアメリカ大統領の次のような言葉を思い出している。
「一人の人を永遠にだまし続けることはできる。すべての人を一時期騙すことも出来る。しかし、すべての人を永遠にだまし続けることはできない」
それはそれとして、今度こそ、国民として許しておいてよいのか、と言いたい。
ときあたかも、東電の「メルトダウン隠ぺい」問題も露わになった。国民の生命と安全にかかわるこれは重大問題だ。それが、アイマイにされようとしかけている。しかも、原発の試用期間を、これまで限度としてきた国民合意の40年を反故にして、20年延長させることも決まった。それも、あろうことか、補強工事の完成を確認した上で、20年延長するか否か判断するのではない。「20年延長させます。だから、補強工事はしてね」と言わんばかりの許可だ。
これも余談かもしれない。
肝心は、東電の「メルトダウン隠ぺい」問題だ。
先週のことだ。東電(東電の第三者検証委員会)は、「メルトダウンしたことは分かっていたが、あえて公表しなかった」と言った趣旨の発表をした。その理由として、@当時の社長が「炉心溶融(メルトダウン)という言葉は使うな」と内部通達したからだ。しかしそれはA当時の東電社長か、首相官邸(民主党)側から「炉心溶融」を認めるのに慎重になるよう要請を受けた、と理解していたと推認されたからだ、と説明した。
これはまさに、結婚詐欺師が邪魔する者を消そうとするときに用いる常とう手段のごときではないか。これは原発再稼働推進派と綿密に画策したうえでの猿芝居、と私は即座に見てとり、下司の勘繰りをした。それが今週、的中していたことが分かった。
少し整理する。
東電は4年以上にわたり、「炉心溶融(メルトダウン)の通達の遅れを追求する新潟県」に対して、「炉心溶融の定義がなかった」「炉心溶融の言葉を使わないように社内に指示したことはない」と言い続けて来た。
ところが今年の2月になって、定義があったことを認めた。そこで、この経緯を明らかにするために設けたのが東電の第三者検証委員会であった。
その第三者検証委員会が、メルトダウンと分かったが、当時の官邸筋の差し金があり、それを忖度して、当時の社長はメルトダウン(炉心溶融)という言葉を使うなと社内通達したものである。当時の鑑定筋の声は確かめてはいないが、「意図的な隠ぺいであったとまでは言えない」といったような経過報告をしたわけだ。
当時の官邸筋、菅元首相や枝野元官房長官は怒った。
数日を待たずして、東電は「隠ぺいであった」と認めた。広瀬直己現社長は個人としての発言を求められ、「隠ぺいです」と明言し、第三者検証委員会の発表はデタラメであった
ことを認めた。しかし第三者検証委員会が当時の官邸からあったと推認した「官邸の指示」については再調査をしない、と言い張った。
それでチョンではオカシイではないか。
国民の安全と安心を守ることを最も大切にしていると主張してきた首相までがダンマリ助平を決め込んでいる。オカシイではないか。
本来なら烈火のごとくに怒り、原発再稼働させた原発を直ちに止めさせ、「この解明が出来で、国民が得心できるまで、原発再稼働はお預け」と叫ばなければならないところではないか。
日本中が委縮している。首相を突き上げる動きがない。首相のゴリ押しに日本中が委縮しているかのように見える。どうしてこのような無茶ができるのだろうか。それは日本の屋台骨が朽ちてしまったからではないか。
不偏不党を標榜し、全視聴者からの集金を可能にさせているNHKの会長人事に介入した。そして、大本営発表スタイルにさせようとしている。
日銀の総裁人事にも介入した。そして毎年80兆円もの新札を発行させ続け、国民の金融資産を毎年5%相当分を目減りさせるようなことをさせている。
挙句のはては、法の番人であった内閣法制局の長官人事にも介入した。これまでの政治介入の余地をなくすべく考えられた不文律を無視したわけだ。政治介入の余地をなくすべく考えられたこれまでの不文律通りの人選が、集団的自衛権行使容認を憲法違反と見る人だと分かると選ばず、集団的自衛権行使容認を合憲とする人を、不文律を無視して選んだ。
日本中が委縮している。それは軍法会議や軍事裁判を思い出しているのかもしれない。不都合な人は消してしまい、消した根拠を都合よく作文して発表すればよかった時代のことだ。機密保持法によって横暴の事実は隠ぺいできるように、あらかじめ決められていた。
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