チェンジマインド

 

 充分なる話し合いができた。終わりの方で、私にも発言の機会が巡って来た。それは、2つのキッカケにうながされたもので、思うところを述べた。

 1つは、ああ言えばこう言う、ではらちがあかない。観光客など広く社会の評価を仰ぎ、尊重すべきだし、この地域の文化に憧れて訪れる人たちの期待に応えたい、と言いたくなったことだ。2つ目は、拙著『「想い」を売る会社』を読んだと言い、その趣旨に「尊敬の念を抱いた」と相手に評価してもらえたことだ。もしこれが事実なら、必ず「チェンジマインド」に結び付くはずと思い、念を押したくなったことだ。

 だから、相手の「チェンジマインド」に期待し、ビジネスのやり方を転換すべき点を2つに絞り、るる要点を話した。1つは、轟轟たる非難の声が湧き上がっている「客待ち」「客引き」行為に対する意見。2つ目は、「客引き」行為で用いられる「詐欺行為」と断じ得る諸発言の指摘である。これらの詳細説明は、「チェンジマインド」が現実化すれば無用になることなので、ここでは割愛したい。

 出席者は7人だったが、うち3人はこの日は行司役となった。この6人が、シッカリと話し合いの趣旨と共通認識をココロに止めた。共通認識とは、この地域が築きあげて来た文化を守りあい、お互いに育みあおう、ということだ。

 実は、拙著『「想い」を売る会社』は、この地域の文化が生み出させた(週記10月18日『 カストマーズケアを無視』にリンク)(京都の「ぼったくり」カフェ、『Dream Cafe』に注意!ようなものだ。幼児期に疎開でたどり着いたこの地には「小倉山の七変人」と呼ばれる人たちがいた。その後、私がココロに育んだ理想を体現したような人が現れた。肌の色、性別、年齢、学歴、出自、あるいは貧富、職業、地位など、いわゆる民勢統計的な問題にはお構いなく、普遍性に富んだ次元を異にする価値観を尊重し、その軽重に敏感に反応し、真摯な行動に結び付ける人であった。常寂光寺の前住職である。こうした人たちのおかげで、小倉山地域の文化は育まれた。そのおかげで、私は『「想い」を売る会社』を誕生させるセンサーを授けられた、と思っている。