英国と日本

 

 「大航海時代」を切り拓いた英国の「EUからの離脱劇」を「大後悔時代」と評した人がいた。英国はこれから、どのような道を切り拓くのだろうか。英国のことだ、きっと「さすがは英国」と世界に言わしめるような決断を下し、実践に移すに違いない。

 「大航海時代」というグローバリズムの先鞭を切った英国だ。ここらあたりで「ローカリズム」に切り替えるべき時代と見てとり、また先鞭を切るのではないか。ウイリアム・モリスの再評価がまた再燃している。食料の自給率や食品廃棄量などを勘案すれば、心身ともにその先鞭を切りうる状態が整いつつある、と私には思われてならない。

 こうしたことを記したくて、2週間前の週報に「自立と賭け事」との題をつけた。だけど、残留支持者は若者に多く、離脱派は高齢者に多かったと知り、再考したくなった。

 今週も「さすがは英国」と思うことがあった。イラク参戦について、このたび独立調査委員会は、「最後の手段ではなかった」との厳しい調査結果を公表し、アメリカに追従したブレア元首相を断罪した。他方日本はどうか。音なしの構えだ。

 小泉元首相はアメリカに追従し、海外派兵を強行した。結果、開戦根拠がなかったことが判明し、憲法に反しての派兵であっただけ英国より立つ瀬がない立場に追い込まれたが、その後、音なしの構えだ。国民もそれを許している。

 さすがは英国だ。ブレアを攻めているだけではない。一時であれ、そのブレアを支持していた自分が許せないのだ。これは、イギリス人の反省の弁だと私は見る。同じ失敗を 繰り返さないために必要不可欠の反省だと思う。

 小泉元首相と言えば、日本の屋台骨をぐらつかせた人だ。リストラや非正規雇用を当たり前にした。貧富格差の拡大を進めてしまった。また、長年にわたって培ってきた中東との信頼関係を一瞬にして崩した。イラク派兵などによって日本を「十字軍同盟の一員」かのごとき印象をイスラム圏の人々に与えてしまった。当時、英国の情報機関が「日本をテロの威嚇の下にさらした」と警鐘を鳴らしたが、いわれなきイラク攻撃で有志連合となり、フセインを殺し、IS誕生に結びつけ、禍根を残した。

 英国と日本、ともに島国の大国としての地位をいまだ保っている。さてこれからはどうなることか。かつての日本はドイツと似た立場にあった。肩を並べていたこともあった。今はどうか。かたや欧州の盟主のごときになっている。日本はアジアで孤立している。

 英国と日本。これからどうなるのか。私たちの民度が問われているようだ。