政権のありようを嘆くこと

 

 参院選では、「憲法は主要な争点ではない」と政権側は言い続けた。前回の衆議院選挙でも、憲法改正問題を焦点化していなかった。だが、参院選挙後、豹変し、憲法についても信任を受けたと言わんばかりの行動に出ている。首相は参院選後の記者会見で、「これがまさに政治の技術だ」と言ってのけた。

 NHKの次期会長選定も、思うがままの操作が試みられた。前回の委員長選出時に、NHKの経営委員会の1委員として籾井勝人を推薦した人を、数十分の議論で次期委員長に選出した。そうした空気が充満した経営委員会になっているのだろう。

 原発再稼働推進問題も心配だ。福島原発事故後、東電は賠償金として6兆円以上の金を既に投じたが、それらのカネはすべて国民に負担させている。そして、このところ、原発再稼働推進が着々と進められている。身を呈したような提案(地震被害見直し)を受けながら、黙殺同然の処置がなされた。折も折、本間龍の『原発プロパガンダ』がでた。

 それによれば、福島原発事故までの40年間にわたって、原発神話を作るために、2兆4千億円以上の金が投じられている。この金はすべて利用者の電気料金でまかなわれている。だが、こうした金は計算に入れず、また、使用済み燃料の処置などの後始末に要するコストも計算に入れず、電気料金を計算し、安いとの詭弁がいまだにまかり通っている。

 こんなことで、日本の未来は大丈夫か。