こうした人、杉山龍丸のような人が、政治家になっていたら、と思った。だが「利権の操作、詭弁、あるいはウソなどを清し」とはせず、また、仲間内で傷をなめ合わず、議員にはなれても、日本の土壌では偉くはなれなろう、とも思った。
今、田中角栄ブームだが、この金曜日にNHK−TVで「未解明事件としてロッキード事件」を取り上げた。日中友好などはスゴイ判断だし決断だが、利権の操作や金権を基盤にした権限の賜物だし、それで崩れ、最後までウソをつき通して死んでいる。日本の土壌で末端を占める身として、残念だし、悔まれる。
杉山龍丸は、戦地で陸軍戦闘機の整備隊長であったが、東条英機一味の詭弁やウソに狂わせられた人生の紹介から始まった。アジアの解放が目的とのプロパガンダを信じ、必敗を予測しながら「始まった以上は、それだけに」軍務に誠実に携わる。やがて疑問を抱くようになり、日誌に「東条を暗殺しなければいけない」と記すまでになる。
だが、戦場でもプロパガンダを信じるパイロットが日々激務に耐えており、その搭乗機の整備にあらん限りの忠誠を尽くす。その間にアジアの実情も知る。
敗戦後、インドの砂漠に植樹を始めることを決意し、肥沃な大地をよみがえらせようとする。日本政府にも支援を求めるが拒否され、ついには日本の母屋まで売り払い、私費で植樹業を遂行し、家族にも愛想をつかされるが、夢を果たす。
愛想を尽かしていた息子は、父龍丸の死後インドの現地を訪れる。そこで父がなしたことや、亡き父に注がれる現地の人の尊敬や感謝の念に触れた。
これに似た例は他にもあるだろうし、今も似た例が、現地の人の目で見た支援に尽くす多くの日本人が世界各地で活動する人がいるようだが、日本政府は評価しない。命まで落としても、自己責任で、邪魔扱いしてきた。なぜか。
日本は大丈夫か。
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