7つもの作業 |
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3回生と2回生の見事な連携プレイだった。おかげで、段取りの在り方と、加齢に伴う非力への要配慮だけでなく、危険を未然に察知するカンも幾分かは伝授できたように思う。まず、ムベのアーチを取り替える下準備から手を付けてもらい、最後は日没前のハヤトウリの収穫だったが、その間にこの2人は大小5つの作業をこなした。 下準備とは、パーキング場にあった鉄筋で造った新アーチを、ムベの側まで運んでおくこと。パーキング場は、紅葉の名所だから、11時頃から観観光客でごった返す。その前にパーキング場から「移動させておこう」と、助言した。 次いで、私の手には最早しんどくなった重い石運び。私が取り組めば、息を継ぐ時間も加えると10数分かかりそうだが、彼らは1回で運び切り、数分で済んだ。これはゴーヤの棚下の畝を改修するためであったが、これらの石を次回までに活かしておきたい。 この後、古いアーチに絡まっていたムベのツルを解いて、古いアーチを取り除くことになった。腐食が始まった薄い鉄パイプ製のアーチだが、4本の脚を、鉄用の鋸で切り取り、コンクリート製基礎から取り外す作業である。もちろんこの作業の前に、鋸の刃を折らずに済ます要領を伝えたが、作業に入って間なしに「折ってしまいました」と報告があった。 私は褒めた。作業を手早く仕上げようとするがあまりに折ったに違いない。同時に、刃を替える余分な時間も体験してもらえたからだ。そして、新品の替え刃がなくて古くて弱った分になったが、2人は2度と折らずに見事にやり遂げた。 次は、囲炉裏場にあった薪やクズ薪を4カ所の乾燥させる場に運び分ける作業だった。その一か所は、喫茶店が終わってから運び込む要がり、途中までとはいえ、2人は私の所用時間の4分の1ほどで済ませた。今の私には、特に坂道を運び上げるのはおっくうになっている。ちなみに、私がその一か所と呼んだ場所には、翌日の喫茶店開店前に側まで運び込んでおき、金曜日の午後1番に、過日完成したガラス屋根の薪置き場に積んだ。 この2人が運んでいる間に、私は囲炉裏場にテーブルセットを用意した。そして、運び終えた2人に、午前のお茶の時間にするか、立て直した新しいアーチに、先ほど解いたムベのツルを巻き直す作業をして、その後でお茶にするかを選択させた。 2人は巻き直す作業を優先させた。それもそのはず、ツルを見事にまき直してみせた。午前のお茶は、昼食と一緒になり、1時間半ほど語らった。読書も話題にした。3回生の濱口 弘廉 (ハマグチ ヒロユキ)さんは素晴らしい本を持参していた。そこで、私流の読み方を披露した。私の場合は、自分の本か否かをまず峻別するが、それは割愛した。良い本だと思ったら、さまざまな色鉛筆を活かし、時間をおいて読み直し、自分や時代の変化を楽しむこともある。やがて、文脈が明らかになり、行間がよめたりする。 気になっていながら、つい後回しにしていた作業があった。白いウドを収穫する仕掛けのし直し、シカの侵入を防ぐために仕掛けた鉄製ネットの取り外し、そして使い終わったブルーシートと野菜のトンネル栽培に用いた帯状のネットをたたむ作業だったが、2人でやれば早く済むとはいえ、いとも簡単に2人は片づけた。 とりわけ、白いウドを収穫する仕掛けのし直しの手早さには驚かされた。もちろん、もっと驚かされたことは、背の高い脚立をうまく使いこなし、難なくハヤトウリの収穫をすませたことだ。そして、ムベのアーチの取り替えで、薄い鉄パイプの中にムクの鉄筋を差し込んであったことを見抜いたことだ。これがアーチたての初仕事だったので、工事を容易にするために工夫した(私は忘れ去っていた)仕掛けだが、2人はこれを一緒に切り取ろうとはせずに、古いアーチのみを切り取り、見事に取り除いた。 こうした能力を存分に活かすことができる社会人になってほしい、と切に思った。 |
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パーキング場は、紅葉の名所 |
2人は私の所用時間の4分の1ほどで済ませ |
薪やクズ薪を4カ所の乾燥させる場に運び分ける作業 |
過日完成したガラス屋根の薪置き場に積んだ |
ツルを見事にまき直してみせた |
白いウドを収穫する仕掛け |