異常な渇水現象

 

 「梅雨らしい梅雨」のおかげで土中にタップリ水を含み「今年は水不足に悩まされずに済む」と安堵した。ところが、これは天災だろうか、人災だろうか。

 「あれよあれよ」と言う間に、土中の水分が枯れたかのような状態になった。これまで水位が40p程しか下がったことがない「井戸枠水槽」が、底をつきそうになった。にもかかわらず、「アイトワ流渇水対策」には、この2年来のことだが、迫られていない。これは30年来の初体験。

 アイトワ流渇水対策とは、庭や畑の散水に水道水を用いず済ませる工夫だ。日常生活から出るあらゆる水を捨て去らずに活かしたり、雨水を有効利用できるようにしたりする工夫のことだ。

 家屋内での渇水対策は、バケツなどあらゆる容器を取り出し「米のとぎ汁」などを溜めて活かす。風呂の窓の外に大きな鍋状の容器を常備しており、残り湯をその鍋に移し、雨が降り出す前に庭の表土を湿らせるために活かす。雨を吸収しやすくする。もちろん、許される範囲はすべて、舗装せず、マルチングに努め、雨水の吸収をよくしている。

 ところが、この2年ほどは、バケツなどあらゆる容器を取り出す渇水対策の必要性には迫られていない。にもかかわらず、井戸枠水槽の水位が底をつきそうなまでに低下した。この底にモグラなどが穴をあけたのではないか、と疑いもした。もちろんその兆候はなかったし、第一、この何年かは、寂しいことに、モグラの被害がない。

 それだけではなかった。「ゴボウの筒育て」でも初体験があった。その歴史は浅いが、順調に育っていたゴボウが突然萎れ、ダメにした。水不足だと見て水を与えても戻らず、やがて異様な萎れ方になる。そこで、生育をあきらめ、せめて細いなりにも育った根を収穫し、食材に、と引っこ抜こうとすると、スポッと抜けた。根が消えてなくなっていた。

 この失敗を3度ほど重ねて「ヤット」気付いた、「案の定」筒の中の土の温度が異常に上がり、根腐れ現象を生じさせていたわけだ。

 その後、外気温が下がってから、3本の筒に1本ずつ、3度に分けて種をまいたが、それらはいずれも無事に育っている。とはいえ、大幅に播種時期が遅れ、「たたきゴボウ」に活かす細いゴボウすら採れそうにない。

 ハクサイ、コウシンダイコン、あるいはカブラだけでなく、シュンギクまでが、第1次と第2次の播種分は、ことごとく失敗に帰した。真ともに発芽せず、発芽した分はことごとく虫害でと、すべてダメにした。これも初体験。

 最も苦労しながら、全滅させたのはレタス。苗床にまいて、苗をポットで3度にわたり、計300株も育てようとしながら、1株も育て上げられなかった。これも初体験。

 やむおうえず、第3次の播種時(ミブナとチマサンチェは苗床にまいた)には、キャベツとハクサイはあきらめ、苗を各5本買い求めて植えた。第3次は、苦労の甲斐があって、その後は十町。苗を買い求めた計10本も順調に育っているが、ハクサイは結球どころか、ハクサイならぬ緑菜(リョクサイ)として活かすのも遠慮しなければならない状態だ。

 幸いなことに、苗床にまいて苗づくりをし、畝に下ろしたミブナとチマサンチェ、あるいは直まきしたアイトワ菜などは、その後の異常な手入れの甲斐があって、その後は例年以上に育ち、お化けのごとくに大きくなっている

 異常な手入れとは、初めてビニールトンネル栽培に手を付けた上に、陽が射し始めるとビニールカバーを外す。陽が陰ったり、日が落ちたりする前に、カバーをかけ直す作業のこと。それに加えて、用いたビニールカバーを使いまわしており、活かせる限り、何年も活かす工夫も考えている。こうした苦労の甲斐があって、例年以上に大きく育った。

 しかし、今年はついに、ナバナは育てられなかった。今頃は、その花芽を楽しんでいる最中だが、1株も育てられなかった。

 ノラボウナは2年目だが、これにも異常が生じている(のではないか)。まともな時期にまいた分は全滅したが、昨年の畝で、こぼれ種から(播種時期よりはるかに早く、こぼれた直後から)自然生えし、その分のノラボウナは異常に大きく育っている。瞳さんのご主人によれば「わが家の畑でも同じようなことが生じている」とのこと。この野菜は薹をたたせ、その薹を収穫する品種だが、いつ薹が立ち始めるのか、興味津々。

 畑では今、異常の続発ついでに、第4次のアイトワ菜の種をまくなど、勝手なことをしているが、これらの今後も興味津々。「作る喜び」を「創る喜び」に次元上げだ。

 

風呂の窓の外に大きな鍋状の容器を常備
 

ハクサイならぬ緑菜として活かすのも遠慮しなければならない


お化けのごとくに大きくなっている