「西太后の真実」
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私もNHK=TV番組・「中国王朝
よみがえる伝説『悪女たちの真実』」で取り上げた「西太后」を,3度にわたって見直すまで、「思う人」にされていた。イギリスの思惑通りに、西太后を稀代の悪女と思わせられていた。真実は、まったく逆であった、と断言できる。 あの不安定な時代に、満州族と言う少数民族でありながら、彼女は広大な中国を48年の長きにわたって統治しており、イギリスを初めとする列強に植民地にはさせていない。 植民地化を狙うイギリスとしては、侵略戦争に自国の庶民を狩りだす上で、西太后を極悪人に仕立て上げ、中国の庶民を救う、と思わせた方が都合がよかったに違いない。秘密工作人エドモンド・バックハウスを北京に送り込み、『西太后治下の中国』なる一書(気に入らない者は皆殺し、美食三昧、そして浪費と、政治を疎かにした)フィクションをしたためさせ、世界に流布させたわけだ。 西太后亡き後、行政の要人は西太后とは異なり、満州族で固めており、大多数の漢民族の反感を買ってあえなく清王朝は崩壊する。もちろん漢民族にとっては、西太后・極悪人説の方が面白かったことだろう。また、私もそうだが、庶民としては、ココロの中の悪い虫が喜ぶ話の方が面白くて、覚えやすい。つまり「考える人」となって真実を突き止めるより、悪い虫がのさばるままにしておいた方が、自己を免罪する上でも楽出し、気が楽になるに決まっている。 世界中の人がプロパガンダに載せられていたが、ヒュー・トレーバー・ローパーが『隠された人生〜エドモンド・バックハウスの謎』をしたため、西太后の真実を明らかにした。それは1976年のことだが、このたびのTV放送まで、私はプロパガンダを信じていた。 それはともかく、そうとは知らずに、いわばつくられた混乱(?)に日本はつけ込み、満州国をでっち上げようとしたわけだが、「愚かだなあ」と思わせられた。結果、酷い目に遭わされた。拡大主義・植民地主義をほしいままにしてきた列強に袋叩きにされ、列強にその免罪符をあたえたかのごとくになったわけだ。日本は、自国民320万人をはじめ、中国人を少なくとも1000万人など多数を犠牲にして、日本を焦土にしてしまったわけだ。 |