東洋経済新報と言う経済誌の主幹として論陣を張った。満州侵略に手を染めた大日本主義を虚構だと非難し、植民地や軍備を放棄する「小日本主義」を唱えたことで知られる。
これは石橋湛山のオリジナルではなかったが、「朝鮮半島、台湾、樺太も捨てる覚悟をせよ。支那(中国)やシベリヤに対する干渉はもちろん止めろ。対外拡張政策は幻想だ、と非難した。
その論拠は徹底した利害得失を元にしており、具体的であった。その論拠の下に、目先の領土拡張を「小欲」と呼び、一切を棄てる方が日本の利益になる「大欲」である、と説いた。
今日の日本のありようを見れば、それがいかに妥当な考え方であったかが分かる。
もしこの意見が当時の国の上層部に理解されておれば、北方4島の返還交渉など不用であったわけだし、基地問題で沖縄県人を悩ませることもなかったわけだ。もとより南京事件も、731部隊の問題も、慰安婦問題も発生させずに済んでいたし、反中嫌韓問題など偏狭で矮小な問題で日本国民を苛むこともなかったわけだ。もちろん、自国民320万人の犠牲者をはじめ、アジアの大勢の民に強いた犠牲者も出さずに済んでいたわけだ。
石橋湛山や高橋是清などの存在を知り、その上で私は海外出張に望んでいたが、それがどれだけ心を晴れやかにしていたことか。そうした人たちの心を掘り下げるうちに、どんどん仕事がスムースの運ぶようになった。余談だが、それが、サラリーマンの28年間を増収増益を達成させたのだと思っている。
ところが、私は義務教育で石橋湛山を学んでいない。高橋是清を詳しく学んでいない。高校でも学ばなかった。もし文部省がなく国定教科書と言う教育範囲の縛りがなければ、石橋湛山や高橋是清を始め、多様な事実を教える教師を生み出しており、違う日本にしていたことだろう。文部省がある限り、彼らの生地などでさえ、正式には触れられないことだろう。残念だ。
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