「案の定」

 

 このたび、民放のTV番組で、籠池理事長と並んで立つ首相夫人が、幼稚園児が教育勅語」を唱和する情景を視察する姿を観た。夫人は、籠池理事長の教育方針を褒めたたえ、いずれ夫を連れて来たい、と目を輝かせて語った。

 園児が「教育勅語」を唱和する姿も「怖い」が、「もっと怖い」のは、それを首相夫人が目を細めて視察する姿だった。さらに怖いのは、幼児に「教育勅語」を刷り込む教育方針を「夫が必ず高く評価する」と夫人が判断したわけだが、その夫は現然たる民主国家の首相であることだ。

 「ハハーん」と思った。結婚詐欺師がカモの魅惑に釣られてついひと仕事、ではないが、首相はこの「教育方針」に心惹かれたのだろう。ところが、カモが難病持ちであったと知り、慌てふためく結婚詐欺師ではないが、「ダマされた」と大憤慨の図ではないか。

 そこで逆切れの結婚詐欺師ではないが、勝負に出た。憲法が許す範囲で「教育勅語」を教育方針に据えてみせる、と打って出た。これで多くの国民の目をくらませうる、と見たのだろう。

 期待していた世論調査がないのが不思議だ。首相夫人はフェイスブックで好きなことを言ったが、その言葉を偽証罪が伴う国会喚問の場で問い直す是非が、問い直されて当然だ。その世論調査が、主要メディアで行われたという記事を未だめにしていない。

 ここで衆議院を解散すれば、国民は自民を勝たす、と見るムキが多いのかもしれない。

 なにせ、首相は言うこととやることが真っ逆さまだ。それを容認している国民だ。内閣支持率が激減する様子がない。死なばもろとも、のごとき腐れ縁がまかり通っているのかもしれない。

 世の中では「疑わしきは罰せず」のはずだが、首相は逆さまのことを押し通そうとしている。「疑わしきは罰する」ことを可能にしかねない共謀罪の法制化にご執心だ。ところが、森友問題では、そのまったく逆だ。限りなく黒に近いが、有言(関わっておれば辞めるを)不実行だ。それどころか、その黒白を明らかにする国会喚問や、資料の提出に応じず、平気の平左のごとし。

 首相ともあろう者をダマしたヤツは許せない。徹底的にアラを探せ。この際、一思いに「教育勅語」を、「共謀罪」を、の気分だろう。それも、北朝鮮のミサイル発射と同様に、猫騙しのごとくに活かせそう、と睨んでのことだろう。