大小10幾つかの作業
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朝飯前のひと仕事としてアイトワの最古木(シンボルのごときモミジ)の枯れて赤くなった下枝の切り取りと、ミヤマイラクサの花の摘み取りを選んだ。イラクサは、いざという時の繊維の原料だし、わが家ではその新芽は山菜の1つに数えている。だが、これ以上に増えては困るので、繁殖の制御策として昨年から、シュクコンソバと同様に花芽を切り取るようになった。ミツバは今年から、同様の手を施し始めた。シュクコンソバやミツバはわが家の大事な自生に任せる野菜だが、これ以上に増えては困る程になっている。 次いで、4匹のキンギョを2箇所に分け棲まわせ、空にした水槽を広縁に持ち込み、大小2種のオタマジャクシの飼育を始めた。広縁には先日、川魚用に2つの水槽も運び込んでおり、賑やかになった。オタマジャクシはいずれカエルになるので、適当な時期を迎えたら水槽ごと庭に出そう、と思っている。しかし、淡水魚は、そうはいかない。大きくなった場合に備えて、今から移住させる大きな住処を予定しておかないと、と思案し始めた。 棲み処を代えたキンギョの1匹に悲劇が生じたが、後は私が見守ることになった。妻が気付いた時はすでに飛び出し、アリがたかっていたという。急ぎ塩で手当てを施し、飛び出せないように手を打った。ちなみに、その後、満身創痍で3日を過ごし、死んだ。網田さんにもらった50匹ほどのキンギョの、残っていた8匹の1匹だ。 朝食後は日差しが強くなっていたので、ワークルームで2本の柱の雨対策に取り組んだ。前日、この留め金に使う部品をHCで見つけた時は嬉しかった。柱にあけた穴にこの金具を差し込み、ボンドで固定。1日ボンドが乾くのを待ち、翌日留め金具を巻き込んだ。後は金具のはみ出した部分を切り取り、カバーと建物との隙間にコーキング材をぬり込めば完成だ。 だが、コーキングの処理は、秋に、と考えている。一番乾燥した時期に一度カバーを外し、もう一度防腐剤を塗った上で、固定しようしようと考えている。 次いで、故障した高枝切りを(過日、50pほど切り取って、ブルーベリーの防鳥ネット用フレームづくりに供したが、それを)再生させた。短くしたことが故障の原因を埋め合わせる上で好都合にした。故障は、持ち手に込めた力を刃先につたえる番線が切れたことで生じていた。だから、丈を短くしたことで修繕が可能になり、それなりに使い勝手が良い道具として再生できた。ここで昼食。 居間では、食卓で用いる「七つ道具入れ」を造った。妻が100円ショップで既製の整理ケースを買い求めてきたが、2つの小さな器とプラスチック片を用いた改造だった。 いつしか私は、さまざまな作業を食卓でし始めていた。当初は新聞を読む程度であったが、ついには、カッターやハサミなどを用いる作業もし始めた。おのずと食卓に眼鏡や筆記用具などを散らかせるようになった。楊枝ブラシも出し忘れる。そこで、たまりかねた妻が、メガネ立てやペン立てなどを用意したが、それがかえって散乱を助長した。酷いときは、片づけてみると筆記用具だけで10数本も散らかせていた。そこで、このたびは、TVのリモコンも一緒に収納できるようにした。子犬に棲み処を与えたのは妻の仕業。私が落したりすると、ひつこいほど、気付くと直ちに置き直す。 次いで、ツタの徒長を制御する部品作りに取り組んだ。人形展示室の基礎部分のコンクリートをツタで壁面緑化したが、ツタが徒長して壁面に醜い跡形を残させ始めた。そこで、チョットした細工で、徒長部分を簡単に切り取れるようにしたが、手抜かりがあった。その細工と壁面の隙間からもツタが伸びる湯になった。そこでその隙間を埋めなければならなくなった。 この日の最後は、陽が落ちてからの畑仕事だった。第1次のインゲンマメを始末し、その支柱を解体し、ネギの畝としては4カ所目を用意した。これで、ネギ苗の植え付け面積は、例年の2倍ほどになった。いずれも短い畝だが、それだけに育て方に差をつけて、楽しんでみたい。 この間に、生ごみ処理、淡水魚の餌やり、鉢植え植物の水やりなどのデイリールーチンに加え、コンクリプールの上を育苗場にした関係で、1つ増えた作業にも当たった。肥料を含んだ水をコンクリプールに流し込まないために、すべてに鉢に鉢受けをはかせているが、そこに溜まる水の適切な処理だ。 バタバタとした1日になったが、なぜかせめて幾つかであれこうした作業を死ぬ前日まで続けたい、と願った。同様に、妻が三度三度の食事を、その日の収穫物に合わせて工夫して用意するように、私は私なりに、こうした作業を工夫して行い続けたい、と思った。とりわけ、紙ゴミ出しは丁寧過ぎるようでいつも「ゴクロウサマ」と冷やかされるが、そのたびに念を入れるようになっている。 この日はトイレを、ドアーを開けっ放しで用いた。結果、2度驚かされた。1度目は、目の前に広がる光景を眺めた時だ。なぜか反自然な生活に追い込まれがちな日々に疑問を抱かされた。その想いを抱きながら庭から引き揚げ、朝刊も夜に開いたが、その時のことだ。谷崎潤一郎が「厠の色いろ」で触れたという一文を知った。「厠はなるだけ土に近く、自然に親しみ深い場所に置かれてあるがよい」。 |
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枯れて赤くなった下枝 |
ミヤマイラクサの花 |
川魚用に2つの水槽も運び込んでおり |
飛び出せないように手を打った |
満身創痍で3日を過ごし |
2本の柱の雨対策に取り組んだ |
小さな器とプラスチック片を用いた改造だ |
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TVのリモコンも一緒に収納できるようにした |
ツタの徒長を制御する部品作り |
すべてに鉢に鉢受けをはかせている |
目の前に広がる光景を眺めた時だ |