キュウリの畝で、風変わりな苗が自然生えしたが、ツルクビカボチャだった。アーチを立てて育てたが、実に立派なカボチャが採れた。その1つは、畝の土にじかに触れ、横たわっていたが、コオロギに襲われ、食害が出ていた。だからまだ若かったが一緒にとった。その折に、元キウイ棚下のカボチャコーナーで、自然生えした丸いカボチャのツルがまいており、葉が黄色くなっていたので、その小さな実も収穫し、いかにも小さいのでガッカリした。
早速妻は、若い1つから食材に選び、まずスープにした。ところが、ツルクビカボチョのうまさがまったくなく、ガッカリした。「残りは捨てて、堆肥にしよう」と私は考えたが、妻はなんとかして生かそうとした。それがヨカッタ。私の願いがかなえられた。
ツルクビカボチョとは大違いで、栗のように甘くてコクのある味ではないが、濃い緑色の菊カボチャのような風味だ、と妻は見抜いたのだろう。菊カボチョのごとくに煮たが、それは、年に一度は食したいと思っていた味と風味を備えていた。「ありがたい」と思った。末期のウラナリを収穫すれば、京カボチャの代役を演じせせられるわけだ。こうして、ことしもよきカボチャトの関係が始まった。
ところが週末に、いよいよ、肝心の元キウイ棚下のカボチャコーナーで種から育てたツルクビカボチャを収穫する段になった。自然生えの分に比べてなんとも貧弱だった。実は、ヒヤヒヤしながら収穫した。と言うのは、このコーナーにはシカ対策のネットを張ったが、その材料代に3万5千円を投入していたからだ。だから、妻に「向こう何年カボチャ」を育てれば元がとれるのでしょうか、と皮肉られかねない、との心配が心をよぎったからだ。だが、妻はそうは言わなかった。
1つ1つ個性がありますから、楽しみですね、だった。
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