理想郷
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訪れて初めて多々気付かされることがあった。その第1は古民家の豊かさだ。中古のマンションは神戸(の企業に勤めていた)時代に買い求めて住んでおり、体験していた。だが、かくなる田舎の古民家を居抜きのごとくに買い求め、そのまま住みつき始めた人のお宅を訪ねたのは初めてだ。それだけに、ワクワクドキドキするような喜びも感じた。 |
二階が居住区になった離れ |
二階 |
道具がいっぱい詰まっていそうな大きな倉庫 |
一人息子で園児の大ちゃん |
振り返ると母屋 |
ワラビ畑のごとし |
散策の後、玄関に誘われ、足を踏み入れると、正面は「居間として使われていた」と思われ、乙佳さんも居間にしていた。右隣の部屋から乙佳さんの声がした。そこは台所だ。居間の左隣りに座敷があり、「遅昼」の席が既に準備されていた。その横に納戸(?)のような部屋があった。 やがて瞳さん夫婦が到着。3人の主婦が台所仕事に就いた。3人の夫は座敷に陣取り、よもやま話を始めた。要は、3人の女性は住宅を「生産の場」として活かし、男どもは「消費の場」として楽しみ始めたわけだ。 つくはづく、瞳さん夫婦と一緒にたずねることにしてヨカッタと思った。瞳さんと乙佳さんも素敵だが、この2人を惹きつけてやまないその2人の夫が出会う機会にも出来たのだから。この人たちに私は、生きとし生けるものを愛しむ心を学ぼうとしている。 そこに、先に到着して一仕事済ませた様子の大工さんが合流。方丈の主たる大工仕事に関わった大工さんだ。この人にも私は真の職人魂を教えられている。やがて総勢8人の料理が、次々と運び込まれ、楽しいひと時が始まった。 岩ガキはむくのが大変であったに違いない。いずれもが、とても手の込んだ乙佳さんの手料理で、にぎやかに並んだ。ちらし寿司には、サイの目に切った刺身が盛りつけられていた。焼き魚に至っては、妻と共感し、妻は感心だけでなく関心も示した。 ユックリとった「遅昼」の後、今度は下手の一帯を見学するために出た。まず、材木置き場があった。そこでは大ちゃんが自家用車で先回りして待ち受けていた。大きな仕事場もあった。一帯には田園が広がっており、見知らぬ野草もたくさん見受けられた。 |
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居間の左隣りに座敷 |
楽しいひと時 |
岩ガキはむくのが大変であったに違いない |
乙佳さんの手料理 |
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サイの目に切った刺身が盛りつけられていた |
焼き魚に至っては、妻と共感 |
材木置き場 |
大きな仕事場 |
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見知らぬ野草 |
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親方は私の所望に沿い、氷室を目指して先導してくださった。その昔、この地域では冬の間に氷を備蓄し、真夏に毎日、宮中まで運んでいた。乙佳さん一家は、ここでひと冬を経験しているが、とても雪が深くて、零下○○度になる、と聞いた。だが、信じられない。問い直してから文字にしたい。 その道中で、瞳さんのご主人が、大ちゃんにカエル釣りを教えた。ネコジャラシの穂に細工をして釣るわけだが、私にも釣れた。カエルの目の前でちらつかせると、かぶり付き、釣りあがる。カエルの目と嗅覚は(これを虫とでも見まがうのだから)たいしたシロモノではないのだろう。 瞳さんのご主人も、親方と同様に生業型の人だ。単なる勤め人(として教職の身にあるだけ)ではなく、農業の名人だし、淡水魚の飼育にも秀でている。 何とも楽しい散策となった。復路は乙佳さんの畑の横を通る道を選んだ。材木置き場が遠望できた。「ワー、もうこんな時間だ」トビックリした。私には、帰宅後のアポイントがあった。そこで、急ぎ午後のお茶の時間にして締めくくった。離れの軒下にスズメバチが大きな巣を張った跡もあった。大ちゃんは幸せだなぁと思った。これからの時代の子どもに残すべき資産は3つ、と私は思う。まず、免疫力を身に着けておくことだ。 ふと、私は3000坪計画に取り組んでいた場合の、その後を連想した。だがすぐに、妻の助言で断念しておいてヨカッタと思った。だから「こうして」と考え始めた。 |
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氷室を目指して |
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真夏に毎日、宮中まで運んでいた |
大ちゃんにカエル釣りを教えた |
乙佳さんの畑 |
材木置き場が遠望できた |
急ぎ午後のお茶の時間にして締めくくった |
軒下にスズメバチが大きな巣を張った跡 |