1つの自信

 

 わが家は、山の裾野のなだらかな傾斜地にあるが、異常豪雨が降るようになり、幾つかのウイークポイントが露わになった。その最大の弱点は、雨水を排水する能力が不足するようになり、庭の一部に雨水が溜まり、池のようになってしまうことだ。

 そこで、その最も底い部位に「コンクリプール」を新設し、追加の配管工事をして、排水能力を旧来の3倍にした。実は、この配管工事にも、この度招いた松尾さんは学生時代に当たっている。

 それでも、この度のような異常降雨は、サンクンガーデンであるカフェのテラスの水の引きを悪くして、水浸しにしかねないことが分かった。そのために排水ポンプを常備しているが、大雨の時は落雷などで停電になりかねない。そうなればお手上げだ。

 妻はこの度、もう一人の小夜子さんのおかげで、心にゆとりを得たのだろう。蓄電器を設置することを思い出し、「ならば女手1つでもなんとかなる」と自信を得たようだ。

 サッパリした顔で帰宅した私は迎え、その自信のほどを得る良き機会になった、と語った。

 だが、その後、蓄電器の容量では排水ポンプを短時間しか動かせないようだとわかり、別途発電機が必要になりそうだ、と語り合った。とはいえ、真夜中に最悪の事態が生じても、蓄電器の明かりの下で作業に当たれそうだ。

 実は、こうした大雨の時に、電気屋の中尾さん(例えて言えばわが家のかかりつけの医者のごとき電気屋)に駆けつけたもらうことになっていた。ところがこの日は、あいにく飲酒されており、駆け付けてもらえなかった。それがヨカッタ。それも妻の「一人で、なんとかしなくては」との気持ちを掻き立てたようだ。


 

コンクリプール