敵愾心や恐怖心は禁物

 

 庭仕事を通して、殺気とはヒトとヒトの間だけでなく、ヒトと昆虫の間でも同様に、いやむしろ鋭敏に伝わることに気づかされている。こちらに殺気がないときは、アシナガバチを尻に敷いても刺されなかったことさえあった。草刈りなどをしていてその巣に近づき、警戒音は発しさせた時は、おとなしく引き下がることだ。殺気がないことを態度で示せば、決して攻撃されることはない。ハチは攻撃などしたがっていないようだ。

丁度今は、大きなスズメバチが庭によく飛んでくる。とりわけクヌギの間を飛び交っている。この木の樹液が好きだし、きっとアブラムシが尻から出す蜜も好物だろう。

「緑の天蓋」の剪定は、スズメバチだけでなく、「イラガ」もご用心だ。その毛に触れるととてつもなく痛いケムシだ。その点では、羽音ですぐに分かるスズメバチの方が無難だ。

スズメバチに関していえば、用心よりも大切なことがある。それは常日頃から敵愾心や恐怖心を抱かないように心がけておくことだ。頭の上にとまられても、慌てずに「いらっしゃーい」と友好的に迎え、飛び去るのを待つことだ。幾度も体にとまられたが、刺されたことは一度もない。

わが家の庭にはさまざまなハチが沢山棲んでいるし、巣も造っている。いずれも大事に扱い、例外を除き、巣をつぶしたことなどない。こちらから攻撃するようなことは決してしないし、むしろ歓迎している。とりわけスズメバチは昆虫界の頂点を占めているようだから、見つけても例外を除き、退治することは決してしない。むしろ、さまざまな虫を餌にしているから、生態系のバランスを保つうえでとても大事な存在と見て、尊重している。

例外は、喫茶店の来客に害が及びかねない所に営巣した場合や、ミツバチが巣箱に棲んでいる場合は、この巣を襲いに来た時は撃退、それに懲りないときは退治する。

このたび緑の天蓋の手入れを始めたが、例年になくスズメバチが多い。だが、間近で目が合っても、カメラを向けても攻撃なされていないし、その兆候もない。

だから、TVなどで大げさにハチ報道をするが、「許せないなあ」と思う。そのあり様は、戦争で言えば下手な武装をして相手を刺激し、攻撃せよと挑発しているように見える。攻撃の対象にさせるように努めているようなものだ。いずれ、このあり方は、変更が叫ばれるに違いない。

その時はキット、スズメバチを保護する義務が法律で国民に果たされる時ではないか。さもなければ、ニホンオオカミのように、失ってから反省しなければならないはずだ。