ありがたい話

 

 郵便局にお勤めの久保田さんの来訪は、「夜勤が入り『線量計が鳴る』を観劇できず、残念」との詫びだった。こうした人が、私の知るだけでも数名になる。

 過日、会場で前売り券と現金を引き換える便宜をはかった人が、誰一人として不参加がなかったことに熱い思いを抱いた。その後、前売り券を買い求めて下さりながら、不参加の人が次々と明らかとなり、異なる熱い思いを覚える所となった。

 このたびの焚火に飛び入りの人は、観劇できた歓びと、その機会を京都で作ったことへの感謝の気持ちを伝えて下さった。だから、週初の楽しい朝のコーヒー時に「もう一度観たい」とおっしゃった人や、暖かい礼状を下さった人を思い出し、とても心が温まった。

 「感動と言えば安っぽくなってしまう程に迫真の演技で素晴らしかったです。良くここまで言ってくださったと勇気をいただきました。言葉に魂がなくなりつつある今の世の中で、言葉の持つ力を改めて感じました。会場にはたくさんの友人も来ていました。中でも福島から京都へ避難して来て、こちらで友達となった方も数名来られていて、皆さん泣いておられました」

 こうした文字が綴られていた。童話作家と知るところとなった方の、妻宛の手紙だった。

 「病は気から」と言うけれど、気から病を癒すことがある、と改めて実感した。