文化を「霊魂」

 

  先週は、習近平の「五位一体」に触れて「脱帽」と言えばあまりにも不遜だが、マイッタ。そこで友人に、「エコ文明」の漢字表記を調べてもらった。たちどころに返答があった。

 それは次のような回答であり、私の憶測がまんざらではないことを示した。

 中国は、今回の「五位一体」を打ち出す以前に、「三位一体:経済、政治、文化」が存在した。このたび「社会」と「エコ文明」を追加した。ようやく社会にとって何が大切か、エコは欠かせないという所にたどり着いた、と言えそうだ。「五位一体の仕組みは、経済が根本、政治が保証、文化が霊魂、社会が条件、生態が基礎」と定義されている。全人代で決められた数々の政策は、往々にして国民が理解や納得する前に強行施行となってきたが、今回も試行錯誤しながら進めてゆくだろう。ちなみに、「エコ文明」の中国語訳は「生態文明」である。つまり、人類が追い求める美しい楽園は、この地球以外にはなく、その大自然であることを忘れないようにしたい、ということだろう。

 だからこそ、今は客観的な見方や国際社会の監督と提言が必要になっている。

 ここで、文化を霊魂と定義したところに脱帽だった。その5000年にもおよぶ有史が編み出させる晴眼に脱帽した。

 中国は2049年に建国100周年を迎える。それ以前に是非ともエコ文明を創出してほしい。一党独裁ゆえに許されることがあっていいはずだ。さもなければ地球がもたない。かつて日本がアジアで最初に工業文明化に成功した時に、中国の人たちは日本に憧れの目を寄せていた。同じように、私はアジア人として、農業文明をいち早く切り拓いた中国に、工業文明に次ぐエコ文明を創出してもらいたい。そして、工業文明を、人類の生み出したあだ花であったと笑いながら振り返り、乾杯したい。