わけあって  

 この建物は、設計時点では喫茶店の計画がありませんでした。人形教室の生徒さんと一緒にくつろぐ人形工房の併設喫茶室として建設が進んでいました。ほぼその外観があらわになったときに、近所の友だちの1人が喫茶店にするアイデアを持ち込んでくださり、急遽内装変更に手を付けました。その人は、今も5人の仲間の1人です。
 ところが、喫茶店のアイデアを知ったときは既に家具は発注済みで、船積みを終えており、変更できませんでした。喫茶店なら4人がけ、もしくは2人がけの家具のほうが望ましいのでしょうが、そのようなわけで6人がけのテーブルになってしまいました。また、この家具は丈夫とはいえませんが、お客様に丁寧に使っていただき、今日もほぼ健在です。お客様の中には、「こんなところでアルヴァ・アアルトに出会えた」といって喜んでくださいますし、多くのお客さんは白木の家具の使い方を心得ておられようです。ですから、これでよかったのだと思うようになっています。