わたしの夢


54年前の今日、最初の経済白書が発表されている。その後、地固めの時、先進国への道、能率と福祉の向上、豊かさへの挑戦などさまざまな副題が付いた白書が世に送り出された。

その間に、私は子どもから成人へ、経済界から今の立場へと身の置き所が変わった。世の中もめまぐるしく変わり、便利で豊かな世の中になった。風呂や冷暖房も指先一本で用がたせるし、無洗米が現れてご飯も指先一本で炊ける。衣服や家、あるいは旅行などもプロが考えて打ち出すものを選り好みさえすればすむ世の中になった。とはいえ私達は何か大きな忘れ物をしていたような気がしてならない。

学生時代にデサインを学んだ私は、商社時代にファッションを囃したことがある。今は その目で世の中を見つめ直し、今後の進むべき方向を後進に指し示さなければならない立場にある。

これまでのデザインは豊かで便利な世の中にする上で貢献してきたが、気掛かりな問題にも係わっていたように思う。デザインは、経済学や科学などが進んだところで発達してきたが、そうした国や地域ほど、環境破壊、資源枯渇、肥満(生活習慣病)、野性動植物の絶滅などの諸問題と深く係わっていた恐れがある。これからは、こうした諸問題の解消に役立つ方向へとベクトルを改め、新たな繁栄の道を模索しなければならない。

そうした新たな繁栄を目指し、そこで有用となる若人の育成を目標として掲げ、教職員が一つなって教育活動に当たれる学校に私はしたい。それが、地域社会への貢献を標榜する学校の最も大切な課題ではないか。

岐阜新聞 コラム『素描』 連載より2001年7月5日分

ライフスタイルコンサルタント 大垣女子短期大学学長
森 孝之
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