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人間冥利 05/05/29

 週の初めは丸々二日間半腰痛で寝込みました。その間に野草は好きなように種を落としたでしょうし、中国の呉副首相は唐突に帰国しました。野草の方は、来年から芽生える野草を極端に増やしたわけですが、数年にわたって除草に励んで堆肥にすれば、土地を肥やすことことができます。でも、ホゴにされた面談を、災い転じて福になせるのでしょうか。

 呉副首相はなぜ引き上げたのか。原因は靖国だと見た私は、寝込んでいるのを幸いに靖国問題を学び直しました。靖国神社は、敵側の戦死者はもとより、植民地から日本に徴用して死なせた人だけでなく、広島や長崎の原爆とか東京や大阪などの絨毯爆撃で死んだ国民も祀らず、逆にいったん祀った人は、日本の遺族はもとやり植民地であった国の遺族が願い出ても出しません。また、日本の司法は首相の靖国参拝を幾度も憲法違反だと断じ、一度も合憲との判断を下していないし、中曽根首相は一度で止めましたが小泉首相は参拝し続けてきました。だから、教育勅語や戦陣訓も読み直しました。その目を過日パリで見たパンテオンの記事が和ませました。

 その後中国は靖国が原因だと表明し、日本の政府は面談をホゴにしたやり方が失礼だと憤慨しました。日本は太平洋戦争での奇襲を非難されがちですが、奇襲にでた事情を知ってほしいように、近年の悪しき関係を改善するために来日した副首相が唐突に引き上げたことに憤ったり嘆いたりする前に、原因を分析すべきでしょう。東洋での信任関係の構築が大切です。

 嬉しいことも多かった一週間でした。まず、過日のNHKテレビを見た多くの人から便りをいただき、その多くが「勇気をもらった」とか「元気付けられた」といって下さったことです。また、日本環境教育学界でのスピーチも合格点だったようで、知人を誘ってアイトワを訪ねてくださる人だけでなく、これが縁で知り合った先生からゼミ生を引率したいと申し込まれました。己の幸せを求めて貫いて来たことが、周りの人にもよきお裾分けができたとすれば、人間冥利です。

 水曜日は朝から大阪に、木曜日は午後から大垣に出かけました。その間の半日を生かし、畑に出てトマトにフレームをかけ、ツルナの支柱を立て、コイモとヤーコンの畝の草抜きをしました。和らいだ腰痛を再発させずに済みましたが、妻に叱られました。庭では真っ赤な野苺やオレンジ色のラズベリーが稔り、エゴノキが小さな白い鈴のような花をぶら下げ、オオヤマレンゲが香りのよい白い花をつけ、ヤマボウシが花を天に向けて咲かせ、カルミヤがピンク色の花を房のようにつけていました。マーガレットや露草は終盤で、玉神木の花は終わっていました。

 金曜日の朝は、恐る恐る目覚めましたが、腰に痛みはなく、畑仕事に熱中しました。ズッキーニが花をつけ、インゲンマメやキュウリがつるを伸ばして蕾を膨らませ、トマトは最初の小さな実を結んでいます。伏見トウガラシも間もなく白い花を咲かせそうです。百合根をとる百合も元気に育ち、育苗ポットではゴーヤが芽生え、モロヘイヤも順調に育っています。その夕刻、新聞やテレビで大日本帝国軍人のニュースを知りました。何がフィリピンの山中に60年もの間しばりつけたのでしょうか。この人たちは靖国に祀られていたのでしょうか。

 来訪者の多い週でもありました。月曜日は鳥取から迎えたご夫妻に杖をさす姿を見せましたし、金曜日の午後は岐阜の知人夫妻に寝惚け眼を見られました。しかし、夕刻に迎えた丹後からの来客や土曜日の午後に迎えた東京からの来客には元気な姿を見せたはずです。綺麗な空気を吸いながら昼寝をしたり庭仕事に励んだりしている間に元気を取り戻し、旧交を温めることができました。人間冥利です。週末に、綿とフウセンカズラの種を、大きな植木鉢にまきました。庭はうっそうとした夏姿になりつつあります。ヤマボウシが見事に咲いています。

ラズベリーはこの何倍もの実をつけており、これから順々に稔ることでしょう。だが、たぶん私たちの口には入らなくなると思います。早起きの小鳥が今年も次々と先に見つけ、ついばまむに違いないからです。初成りの実を先にこれだけ収穫できたことは珍しく、小瓶に一杯分でしたがジャムにしてもらいました。

エゴノキです。庭には二本のエゴノキを見つけていますが、いずれも小鳥の糞から芽生えたものです。巨木になる木ですが、いずれもあまり大きく育ってもらったのでは困りそうな中庭にあります。ハクモクレン、沙羅、ナツメそしてヒメコブシを植えた一角に、その中央に位置して芽生えています。

オオヤマレンゲです。苗を植えつけて10年ほどが経過しますが、背丈はまだ2m程度です。その小さな木が、開花すると直径12〜13cmもの大きな花を幾つも、うつむき加減に咲かせます。とても甘いよい香りがします。どのような虫を呼び寄せているのか、夜分に観察すれば分かるのでしょうが、未だ試みていません。
自生種の野草、クサノオウです。単なる毒草ではなく薬草でもあり、漢字では「草王」だと友に教えられました。なかなか増えませんが、ずいぶん昔から半日陰の湿り気味のところで毎年花を咲かせています。薬効は、鎮痛作用や末梢神経の麻痺作用を持つが、有毒なので素人の内服は危険。湿疹、疥癬、たむし、イボなどの皮膚疾患にも外用薬として有効とされるが、処方なしでは危険、とのことです。
ズッキーニが花を咲かせ始めました。初めての作物ゆえに興味津々です。いつごろから、いつごろまで収穫できるのでしょうか。ヤムイモを植える予定であったところで育てています。ヤムイモは種芋の保存に失敗し、底冷えのするわが家では無理な作物だろうと考えて、あきらめることにしました。

九州の76歳の友から届けられた作物です。未だ半人前の後継者(孫)の育成と自分の夢のいずれを優先すべきか、いつも体力の限界を感じながら選択を迫られていましたが、テレビ番組を見て心が決まりました。後継者の育成を優先し、その合間を生かして夢をかなえる計画書をつくりました、との手紙が添えられていました。

トマトにフレームをかけました。すでに最初の小さな実を結んでいます。手前は、初めてつくるツルナの支柱です。トマトは、5本とも同じ苗、モモタロウという苗を買ったといいますから、畑で自然生えした苗も一本は育てようと思います。きっとチェリートマトだと思います。
過日のパリ旅行ではパンテオンに立ち寄り、奇妙なものを二つ見ました。この巨大な振り子はその一つです。これは、物理学者のフーコーが考え出した地球が自転していることを照明する仕掛けでした。振り子の揺れる方向が自転に影響されて規則正しくずれてゆきます。もう一つは地下にありました。ご興味のある方はこの写真をクリックしてください。