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アイトワ循環図

分身 05/12/04

 35人のご婦人方をエコライフガーデンに迎える準備から始まった1週間でした。日曜から月曜の午前中にかけて、庭を一巡する路にそって落ち葉掃除をしたのですが、延べ17時間も要しています。落ち葉は腐葉土小屋に積みました。囲炉裏場に溜まっていた間伐材や選定で出た木くずを片付けて薪を4束作りました。残滓は2日に分けて燃やし、一輪車に2杯分の灰をつくりました。

 お迎えした35人の見学者に対して、「これまでの一般的な庭園を期待して来られた方がいらっしゃれば、『なんと手入れができていない庭だこと。きっと生活に追われているのでしょう』と思われるはずです」と切り出し、「この庭は生活を潤してくれる庭です。食べ物や薬を与えてくれたり、暑さや寒さを穏やかにしてくれたりする庭です。家族にとっては体を癒す病院でもあり、学校や道場でもあり、と色んな役割を担ってもらっています」とつなぎました。

 小さな男の子を連れたお母さんがいました。その子は庭巡りの後、ポケットから栗とドングリの実を取りだしました。「山栗です。蒸して干せばカチグリができます」。「ドングリも」と、まだ自分は作っていないのに「美味しいクッキーを作れます」などと話しました。土から生まれたものを食し、最後は土に返る。その間にあって、動物と植物は分身の関係だと男の子に気付いてもらいたい、と願っています。実は12月中旬には40人の学生を迎えますが、そのときの緊張感を一足先に味わったような気分でした。私は、この男の子と同じ年頃のときに京都に疎開しました。近くの別荘に疎開していた幼友達を訪ね、その庭で鬼ごっこをしましたが、「ボクもこんな庭が欲しい」と願っています。そして、近く迎える学生の年頃から荒地の開墾を始めています。

 なんとも目が回るような一週間でした。毎日のように、朝一番に前の市道の落ち葉かきをしました。早起きの観光客が繰り出してくる前に終えないと大変です。続いてパーキング場の掃除です。けっこう汗をかく作業ですから、畑仕事や木の手入れなどあまりしていないのに、雨空の日は書斎にこもって体を休めたくなっています。火曜日は終日こもっていました。山のような未整理の資料に手をつけたのですが、読み直してもなお捨てられない意見が幾つもありました。

 他にも色々と変化に富んだことがありました。中三の国語テキスト集に、「エッセー『分身』を引用していた」との知らせがありました。偶然の一致とは不思議なものです。月曜日に迎えた子どもに「分身の心」に目覚めてほしいと願いましたが、かつてその心の一端を一文にしていたことを思い出させる知らせが水曜日にあったわけです。朝日カルチャ-センターの案内も出来上がってきました。10年前の短大での教え子や大見に幾度か一緒に出かけた女子大生(当時)も訪ねてくれました。後者と語り合ったことは次週に触れたいと思います。プロジェクトXで関わった人たちもお迎えして感想などを語らっていますし、アパレル時代の知人を迎えて旧交も温めています。やっと観光シーズンは終盤、来週から少しは静かになりそうです。それは紅葉のシーズンが終わり、毎日のように落ち葉かきをすることもなくなることを意味しています。

 このあいだまで顧問をしていた会社の社長に、奈良にあるカウンター割烹に招かれていましたが、それを幸いに唐招提寺を訪れる手はずもととのえ、出かけています。今しか見ることができない金堂の解体修理や仏像を補修する現場を見たかったのです。妻と一緒に出かけ、大切に扱えば何千年でももつように配慮した建造物の迫力に圧倒されました。そのあと社長に薬師寺や「伎芸天像」で有名な秋篠寺に連れていてもらい、芸術家の守り神とも言うべき観音を初めて見たのですが、その優雅さに圧倒されました。夕食に案内いただいたカウンター割烹では、こんなに自信と喜びをもって次々と新しい試みができる調理人を見たことがない、と感心しています。

ヤーコンを掘りました。葉は先に収穫し、陰干しにしていましたが、それは生乾きの葉だけちぎりとって刻んでいます。昨年までは軸も一緒に刻んでいましたが、茎は除いて今回は葉のみを用いることにしたのです。干しあがった時に、焙じて試飲するのが楽しみです。これは主として来夏に、冷やし麦茶の代わりに用います。

アイトワの青菜です。さまざまな十字花植物(アブラナ科の野菜)が交配しながら種を結び、勝手に種を振り撒き、芽生えさせた野菜です。二本と同じ野菜はありません。もちろん味わいだけでなく、舌触りも異なります。

ブロッコリーの花が咲き始めました。直径はゆうに20cmはあります。この手前の一本は、撮影した翌朝(木曜日の朝)に半分収穫し、調理してもらっています。いずれ脇芽を出しますが、それは茎が長くて美味しい(11月13日の週記に載せた)スチックブロッコリーのようです。
紅葉の季節は、朝の7時過ぎから前の市道の落ち葉かきを始めます。急がないと早起きの観光客が姿を現れ、しばしば手を休めざるをえないことになります。近頃は、タクシーの窓から見るだけで満足する人が増えたようです。テレビよりも臨場感はえられるのでしょうか。それとも、この人たちは名画「ガラス越しのキス」に感動した人たちでしょうか。いずれにせよ、それで分かったつもりになれるのでしょう。

市道の掃除を終えてからパーキング場の落ち葉かきです。市道とパーキング場で、この袋に4〜5杯分の落ち葉がとれます。楓の葉は、クヌギの葉などと混ぜて腐葉土にしないと、べとつくばかりでよい腐葉土になりません。
ハクモクレンの落ち葉です。庭の奥の方では、落ち葉のじゅうたんを愉しんだ上で、かきとります。樹種によって、葉の色や形だけでなく、落ちるときや踏むとき、あるいは風に吹かれたときなど、音まで異なります

ダチュラが最後の頑張りを見せています。幾年か前に奄美を訪れましたが、そのときにゴーヤの種を持ち帰ったり、庭でダチュラ(エンジェルストランペット)を育てることを決めたりしています。庭には白い花とこの色の花の2種があります。