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自然が引き立てる歴史の輝き 05/12/25
日曜日は期待通りに雪化粧で明けました。3日間にわたって2つの集いをハシゴしたのですが、最終日は雪になってほしかったのです。過日、雨から霙を経て雪に変わる光景を目の当たりにしましたが、短時間のことでしたし積もりませんでしたから、これを初雪と見てよいでしょう。
土曜日の昼までは山科で、アイトワ塾の合宿。その足で「湯豆腐の会」と呼ぶ次の集いに駆けつけたわけです。この会は東京勢と京都勢が土曜の午後に京都で参集し、翌日の昼まで京の名所を巡ったりする親睦会です。名所を巡ったあと、祇園界隈の銭湯で身を清め、酒宴会場まで歩きます。中には酒宴会場のカウンター割烹にのみ参集する人もいますが、私は逆に酒宴は早々とトンずらし、日曜日の朝に必ず出直しています。その日曜日が、期待通りの雪になったのです。
実は土曜日の新聞で「癒しの光 年の瀬 街角 イルミネーション」との見出しに目を留めており、人工的なライトアップに一抹の寂しさを感じていたのです。下品な例ですが、裸になった落ち目の女優を連想したのです。観光都市京都が目先の人気に目がくらみ、己の未来を踏みにじっている、と感じたのです。同時に月光や雷光で見た夜景を思い出し、自然が際立たせる壮大な美に巡りあえた幸せを、つまり自然が引きたてる歴史の輝きに立ち会えた幸運を誇りにしあう京都でありたい、と考えたのです。だから雪の日曜日になることを切に願ったのです。
湯豆腐の会は予定を変更し、雪の金閣寺に駆けつけることになりました。タクシーに分乗する前に「この寒さですから空いているでしょう」と幹事は話しましたが、なんと初詣のような賑わいでした。「私、3度目で初めて」などと多くの人が幸運に沸き立っていました。その渦に巻き込まれながら、やがて京都はこの賑わいに目をつけ、人工雪で飾りたて、客引きを始めるのではないか、と心配した次第です。ライトアップは誘蛾灯並みでしょうが、人工雪はより高尚な人工美だと思います。誘獣雪や誘虫雪など聞いたことがありませんから。つまり、虫や獣はおびき寄せられない美、人間のみが感受しうる美を演出し、人間が集うわけですから。
火曜日は、野菜を地下室で育てるミニプラントを見学しています。無菌室の蛍光灯で育てる水耕栽培でしたが、グリーンリーフ、レタス、カキチシャ(サンチュ)、ルッコラ、水菜などを洗わずに食べられることを強調していました。播種から1ヶ月(定植後2週間)で収穫。1.5人の人手をかけて50坪7段の野菜工場で年間1万本を生産し、一株360円で出荷していました。
帰途、上賀茂神社に隣接し、藤の木通りに沿って流れる明神川のあたりで美しい家並を見ました。室町時代から上賀茂神社の神官が形成した家並です。その社家とよぶ独特の妻飾りがある家屋と、明神川に掛かる土橋、川沿いの土塀や門、土塀越しの庭木が織り成す景観は見事でした。
水曜日は若き夫婦から手前味噌が届きました。園芸福祉に情熱を傾け、4年半前にNPOを立ち上げた夫婦の手になる味噌です。その立ち上げ前に幾度か助言をした関係で、時々味噌やカステラを添えて近況報告してくれます。妻は個展を控え、来春は味噌を仕込めそうにないので大助かりでしょう。木曜日は早朝から大雪になり、2つの約束をキャンセルして終日家に閉じ篭もり、依頼された旅行記をまとめました。また、朝日カルチャーセンターでの講座を、いわば仲間内で紹介しあう掲載誌も届きました。金曜日の夜は恒例のアイトワ塾の忘年会でした。
かくして気の置けない仲間との集いや気の張らない見学などを楽しむ一週間となりました。もちろんその間に庭仕事や大工仕事にも精を出しています。中庭の落ち葉掃除が済みました。湿った落ち葉でしたから、しかも分厚くて大きくて重いハクモクレンや次郎柿の落ち葉が主でしたから、腐葉土小屋に積み上げるのに難儀しています。ナツメの剪定も済みました。
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アイトワ塾の合宿で朝食を待っているところ(講師撮影)です。食後、側にあった毘沙門天にお参りして解散です。前夜は念願の講師を迎え、1時近くまで談論風発でした。朝食前に、朝の雪景色を愛でる露天風呂を満喫しています。帰途、講師をかつてご紹介した明倫小学校にご案内し、往年の京都の意気込み、町衆の教育に対する意気込みを感じとっていただきました。
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湯豆腐の会は、土曜日の午後一番に、昨年から一般開放された京都市の指定文化財(1995年)駒井家住宅を訪れています。メンバーの一人が日本ナショナルトラストの理事でもある関係で訪れました。280坪の敷地に1927年に建てられた洋風建築物です。
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今年初めて雪化粧した日曜日の朝の中庭です。この光景を眺めながら朝食をとり、湯豆腐の会の第2日目に出向いたわけです。この会はアイトワ塾と同様に17年前に発足し、年に2度ばかり開いてきましたが、私は12〜13年前から加えてもらいました。
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私にとっては生涯二度目の雪の金閣、鹿苑(ろくおん)寺でした。前回は池も雪で真っ白でしたが、境内は閑散としていました。観光ブームになる前に、どなたかを案内しています。
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妻のために買ってもらったパンです。湯豆腐の会は御所(御苑)から昼食会場まで歩きましたが、その道すがらに有名なパン屋がありました。メンバーの一人が、人形創りに没頭している妻を思い、買ってくださったものですが、一つ欠けています。私が「いらない」というのに加えてもらった3つの花のようなパンの一つを、持ち帰ったときに妻が早速手を出したからです。
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木曜日の中庭です。山際では14cmも積もりました。午後4時ごろの東の空も見事でした。妻が大声で呼びましたから外に出て眺め、急いでカメラを取り出しましたが、すでに色を変えていました。初めて見るブルーグレイの空でした。この雪で、アイトワ塾の忘年会に集った子どもたちがテラスで大雪合戦。その合戦跡を父親がきれいに掃除させていました。
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社家の光景です。京都市はS63年に、上賀茂伝統的建造物群保存地区に指定しています。この社家で、宮司が私の好物の漬物・スグキを生み出し、その製法を近隣の農家が知るところとなり、一般家庭でも親しまれるようになった、と同道した友が教えてくれました。
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