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立体似顔絵とメダカのオツム 07/03/25

 こみあげてくる微笑と思わず自嘲の失笑をする体験をしました。微笑みの方は「災い転じて福となす素晴らしい人生」が身近で生じかけていたことを妻から知らされたからです。失笑の方は思い出し笑いです。「まだ出ていないかな」とツクシやカンゾウなど山菜を求めて庭を巡っているときに、過日友と交わしたヤブガラシに関わる会話を思い出したからです。

 妻の人形教室に、遠方から通っている生徒さんのお1人が失業しました。勤め先が廃業したからです。人形作りを習いに来ているその人は、似顔絵を見事に描く特技を持っていす。失業した彼女に対して、妻は次の生きる足場を早く固めてほしいと願うかたわら、「彼女ならでは」といえる道に踏み出すチャンスに生かしてもらえたら、と願っていました。天分というか天職というか、そうした道に踏み出す機会にしてほしいとの願いです。それがかなえられそうになったのです。似顔絵を見事に描く特技と、習得しつつある人形作りの技術を組み合わせ、「彼女ならではといえる新しい世界」いわば「立体似顔絵作家」への道です。

 彼女は素晴らしいチャンスに恵まれました。それに挑戦し、見事にクリアーしかけているのです。余談ですが、少し私も、かつて彫塑に手を出したことがあります。そこには2次元とは異なる難しさがありました。その難しさに加えて、「第3次元の似顔絵」を創り出す仕事は、特定の相手に気に入ってもらわなければいけない、という側面も抱えています。だから試行錯誤を繰り返さなければならないとても難しい仕事であろうと思います。しかし彼女は、クリアーしかけているのです。人形教室の仲間に励まされ、彼女はその道をまさに切り開きつつあるのです。

 幸いなことに、彼女はテニスプレイヤーのフェデラーが出場する大会の関係者から、フェデラーに贈る「立体似顔絵」の依頼を受けたのです。その出来上がった作品を見て、彼女は見事に新しい道を切り拓き始めた、と私は確信しました。ロジャー・フェデラーは、男子テニス・シングルス世界ランキング1位の地位を161周連続維持し、最長王者になったと過日報道されていました。そのフェデラーが、贈られた彼女の作品に感動し、追加の仕事を注文した、というのです。

 私は、すべての人が「その人ならでは」といえる才能や特技や感覚などを持って生まれている、と考えています。だからすべての人がそれに気付き、発揮しあいながら生きて行ける世の中になって欲しい、と願ってきました。近年の社会は、この願いとは逆の世の中にさせがちで、労働を原罪と見る西方宗教の悪しき影響さえ感じさせられており、日本らしくない世の中だ、と嘆いてきました。ところがここにまた1つ、新たなる一筋の光明に触れたような心境にされたのです。

 失笑の方は、「いくら取っても絶やせないシブトイ野草」と思っていた宿根のヤブガラシの話です。ヤブガラシが美味しい山菜だと知ってからアイトワの庭ではすっかり減ってしまったのです。新芽を摘み取ってヌタにすると美味なのです。だから芽が出る頃になると目を皿のようにして探し、芽吹いた新芽をとっているうちにすっかり減ってしまったわけです。この話を過日友にしたのですが、生物に造詣が深い友は「どうしてある程度育ててから摘まないの」と聞き返しました。そうすれば枝別れして次々と吹く新芽を摘み取れそうだ、というわけです。

 3年前の今頃(04年3月21日)、私は『メダカより賢くなりたい』との週記をしたためていますが、メダカ程度のオツムであったことを自覚させられ、大笑いをしたのです。「メダカの振り見てわが振り直せ」とはいかなかったわけです。もちろんどうしてこんなことになってしまったのか、と考えました。それはどうやら、これまでの習い性という既成概念と、よりいっそう固くなっていた頭のせいではないでしょうか。気をつけます。


ロジャー・フェデラーの立体似顔絵。どの角度から見てもよい出来です。3次元はより4次元に近いものですから、あらゆる角度から睨まれかねませんし、より動きの配慮が求められがちです。

 

  この立体似顔絵を創った作家の名刺。洋髪の女性と福助をうまく組み合わせた技に、ただならぬセンスのよさと才能を感じさせられています。
ホームページ http://www.biwa.ne.jp/~tamiko/
 
妻が大騒ぎしたニンジン。「女の人のようね」といっていたかと思うと「男の人のよう」と驚いていました。何のことかと思って手にとってみて裏返し、やっと意味が分かりました。

 

大きな混血野菜を収穫しました。畑から台所の近くまで持ち帰る途中で一休みしています。体重計を持ち出して量ったところ10sもありました。幾種類かの十字架植物の血が混じったのでしょう。葉の形は小松菜を、大きな株を作らせたところは壬生菜を連想させますし、大きな根はスグキ菜の血を感じさせます。
きれいにヒメコブシが咲き始めました。昨年はことごとく小鳥に花ビラをついばまれました。小鳥が野菜の花をついばむ光景やついばんだ跡を見かけたことがありませんが、木の花をついばむ小鳥は時々います。
かつて彫塑に手を出していた頃の私の作は、人形展示室の屋根下のスペースに収納してもらっています。