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キノコに精通したい  07/10/28

 先週とは異なる意味合いですが、長い一週間でした。週初めは好天の下で次の本の編集者とカメラマンにアイトワの朝を体験してもらい、週末は2日続きの雨になり屋内で過ごしたのですが、その間にトピックスが3つもありました。嵯峨御流のレセプションで乾杯の音頭をとらせていただいたこと、キノコを身近に感じたこと、そしてこれまでは2週に分けていた庭木の手入れを一度に片づけたことです。他に、アイトワ塾や2つの原稿の校正などに当たっています。

 嵯峨御流は嵯峨御所・大覚寺の華道ですが、京都駅ビルで3日間にわたって大イベントを繰り広げたのです。3年前から、日本の麗しき原風景や懐かしい心象風景を花材で愛でる「日本をいける」プロジェクトが始まっていますが、その一環です。おりしも今年は、地球の荒廃を嘆くIPCCやゴア米前副大統領がノーベル賞を受賞し、IPCCのパチャウリ会長が来日して「環境問題に不熱心な日本は世界の孤児になりかねない」と嘆きました。京都駅ビルに700人からの華道家が全国から集い、日本の景観保全を願って大イベントを繰り広げましたが、この想いが広く全国に行き渡たれば、きっと環境問題の改善に大きく貢献するに違いないと信じ、乾杯の音頭をとりました。

 キノコに精通した人と電話で半時間ほど会話を楽しみました。NHKテレビのローカル番組で、街のキノコ博士が紹介されました。これを幸いに、電話で接触したのです。長電話の相手をして頂き、キノコの世界がとても身近に感じられました。来年の今頃は、キノコに関していえば、きっと別人のようになっていることでしょう。エノキは白くて軸が長いものと思っていましたが、それは人工栽培でモヤシ状態にしているだけのこと。野生のエノキは、軸が短くて黒く、傘は赤茶色でとても良い香りがし、美味だそうです。さもありなんと納得しました。

 1週で片づけた2つの庭木の手入れは、冬を迎えるための剪定です。囲炉裏場で日傘の役目を担う10本あまりのクヌギ林と、裏庭にある2本のキハダの剪定です。12段の三脚脚立を用いて行いますが、共に老体には相当きつい作業です。この剪定で出た枝葉を風呂焚きに生かせば冬でも20回は沸かせることでしょう。それを延べ半日がかりの焚き火でバケツ2杯分の灰にしました。焚き火のできない知人への使いものにしようと考えたのです。残る大剪定は、スモモと枝垂れの紅梅、そして座敷とアトリエの間にある常緑樹のモクセイを残すのみとなりました。

 2年前までは、落葉樹の剪定は葉が落ちてから行っていましたが、昨年から葉が青い間に試みるようになっています。樹勢を制御する効果がありそうの思うからです。しかも、クヌギ林で日傘の役目を担わせている枝を弱らせないためにも有効だと思うのです。その水平に張った枝の上に、毎年覆い被さるように新な枝が徒長しますが、水平に張った枝に青い葉が残っている間に日陰にしている徒長枝を取り除けば、肝心の枝が日光を得て元気を取り戻すに違いありません。

 今週は、編集者やカメラマンと一緒にクボカキやシホウチクを収穫することから始まったわけですが、自然と多様な触れ方をしたわけです。このお2人との夕食も、迎える直前に摘んだり拾ったりした山栗や京唐菜なども生かし、柿とりの時間から計算し、シホウチクの収穫の時間も加えると7時間に及ぶ夕食を楽しんだことになります。もっとも、庭の食材を生かしたすべての料理がカメラに納められましたから、そのための「お預け」の時間も多かったわけです。

 金曜日の朝から雨がぱらつき、講義からの帰途あたりから強くなり、断続的に土曜の夕刻まで続きました。だから週末は溜まっていた屋内での仕事に時間を割きました。とりわけ、2年続けて中国を訪れた意図を明らかにした短文と、毎週のように庭で焚き火をする心境に触れた短文の校正を楽しみました。それは同時に、むち打った老体にとって良き骨休めになりました。

クボガキ、栗、京唐菜、トウガラシ、そしてシホウチクの筍。夕食のための主たる食材とデザートです。京唐菜の葉をちぎり取る作業と筍の皮むきは編集者に体験してもらいました。共に爪を真っ黒にする作業です。
シホウチクはタケノコご飯とこのメインディッシュに生かされました。卵を生かし、柳川とキッシュを参考にしたような初めて挑戦した創作料理です。残った筍は和え物(右)や佃煮になりました。

 

囲炉裏場で日傘の役割を担っているクヌギの剪定。左は剪定前。日曜日の午前中に手をつけ、カメラに収まった後、翌日の夕刻までかけました。その間にクヌギを1本伐採しています。右は切り倒したクヌギです。キハダの剪定は水曜日にしています。

 

嵯峨御流が1階の駅前広場にディスプレイしたイベントの一端。最上階屋上から、長い中空廊下はもとより、さまざまなところで数多くの日本のケシキイケが試みられました。
2kg以上もあったズッキーニ。わが家で育てた苗を義妹にあげたのですが、こんな成果を返してくれました。わが家では1つもとれませんでしたが、おかげで1週間ズッキーニづくしのようになりました。やや皮が固めですが、とりわけ種のあたりが軟らかくて美味しい。どうして市場では小さな間にとってしまうのでしょうか。
 
ピクルスにしたトマトと最後のイタリアントマト。さまざまな色合いと形が心を和ませてくれます。本来、自然物は2つと同じものがないはずだし、だから歯触りも味わいも異なり、楽しくなってしまいます。

 

キハダの剪定。市街地の街路樹で見るプラタナスのような樹形に育てれば、あと10年ぐらいは面倒を見られそうだと考えながら手をつけました。その途中でふと母を思い出しました。母が70歳の頃に「危ない」と思い、母屋の屋内脚立を取り上げて叱られたことです。問題は、80歳まで屋外用12段三脚脚立を扱えるかどうかです。今でもふらついているのですから。