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香り七傑、孝と異常 08/10/12

 キンモクセイが咲き始め、白い花のジンジャーが末期に入りました。現在庭にあって、良い香りを放つ植物の七傑は、ロウバイ、ミツマタ、クチナシ、ジャスミン、玉神木、ジンジャー、そしてキンモクセイです。梅や夜香木も良い香りですが、香りの7傑から外しています。梅の香りは弱く、夜香木は玉神木と同様に強い香りですが鉢植えですから。

 雨の日曜日は、どうしても参加しなければならない約束から始まり、どうしても参加したい約束で終わりました。前者は地域運動会で、後者は結婚披露宴でした。地域運動会では、男子玉入れに参加することを妻と約束していたのです。この1年間、妻は輪番で回ってくる町内の体育振興係を引き受けており、そのよしみでの参加です。会場の小学校まで久しぶりの徒歩での登下校でしたが、おかげで幼友達と出会ったり、子どもの頃に母に後ろ手に縛り付けられた門柱を眺めたりしました。その門柱は、敗戦前年に疎開した家にあったもので、今も瀟洒な門を支えている側柱です。また道中で、除草剤がまかれた畑を眺めながら、人間は何かを見失っていると考えました。効率や経済性に振り回されて、異常に気づけなくない生き物になっている恐れがあります。

 披露宴は、中国からの2人の留学院生が、ゼミの教員や仲間に開いてもらったもので、私だけ運動会をぬけて、遅ればせながら駆けつけました。こうした宴を設けてもらえた若い2人の立派さと、設けた大学の校風や大学人の人柄に感激しました。実はこの2人には、中国での結婚式に妻と2人で招かれていたのですが、そのときは私の北海道旅行と重なって参加できなかったのです。

 今週は他に、うれしい贈り物と楽しい語らいの機会にも恵まれました。丹波の友が送ってくれた見事な栗は、味も抜群でした。先週、ある集いで初めて会った人に送ってもらった資料の中に、内村鑑三が「代表的日本人」の1人に選んだ中江藤樹に関する冊子もありました。風呂を焚きながらこの冊子を読みましたが、両親が私の名に用いた「孝」の字の由縁を知りました。孝の字は老・子の二字を合わせて作られており、孔子は「孝経」の中で弟子の曽子に「孝行があらゆる道徳の根本」と説いたとか。フクロウがホホーッ、ホホーッと鳴く声や、薪のささやきを聞きながら、母に後ろ手に縛られたことをまた思い出しましたが、ついに原因を思い出せませんでした。

 語らいの機会は、2回ありました。あるお願いごとをした人には妻帯の夕餉を提案され、逆にレストランに招かれて3時間以上も歓談したうえに、来春出る拙著に一文を寄せてもらう依頼を快諾してもらいました。あとの方は、「今から訪ねたい」といって訪れた人たちですが、到着するのが2時間も遅れた上に、これも3時間におよぶ談論風発となり、その日は結局庭仕事に出る時間をなくしました。しかしそれが、前日に痛めた腰をいたわる上で幸いしました。

 庭仕事は、風除室の北側にあるビオトープの除草、高い三脚脚立にのぼって施した裏庭にある2本のキハダと椿の剪定、「金太の道」と呼ぶことになった金太の小屋のうしろを通る道の除草、そして苗床で育てたチマサンチェの苗を畑に下ろしたり、ポットに植えたりする作業でした。腰を痛めたのは、ゆるい坂がある金太の道で、除草中に尻餅をついたのが原因でした。

 ハッピーに翻弄されるというエピソードもありました。これまでにない吼え方をしましたので、庭を一巡しました。週初めに生垣の外側で鹿を見ていますし、3頭の子連れのイノシシも見ていましたから、もしやと思ったのです。異常はなく、戻ってみると、ハッピーはまだ吼え続けていたのです。それがなんと小屋の中からです。原因は、私もギョッとするほど大きなナメクジでした。おびえているハッピーに、「その感覚を大切に」と褒めました。本能のみで生きているハッピーは、大きなナメクジを遺伝子に組み込まれておらず、異常を感じたのではないでしょうか。
 
小雨の中で始まった運動会。終日しょぼしょぼと雨が降りました。妻は後片付けにも動員され、係りの皆さんで、泥で汚れた玉入れの玉の洗濯をはじめ、その後のテントの片付けなど、大変であったようです。


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縛られた柱@。佛母堂と号したA伯母の家に疎開で住み着き、いたずら盛りの私は母をてこずらせたのでしょう。門を補強する側柱に後ろ手に縛られました。その私を夜中に見舞った姉が、「宏チャン(弟)が手を出させたのにねえ」と慰めてくれたことと、あれはブッポーソーですよと教えてもらったことまで思い出しました。


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B この冊子@は、依頼した漢詩の説明書に添えられていました。この人と出会った料理屋の座敷にあった掛け軸Aがきっかけです。この人が寒山寺で撮影した漢詩Bも添えられていました。内村鑑三が1907年に著した「代表的日本人」の5人は、上杉鷹山しか知らなかったので勉強になりました。J.F.ケネディは、大統領就任式で尊敬する人物として上杉鷹山を挙げましたが、この一書で知ったのであろう、と聞いていたのでとても興味津津でした。

この薪のささやきにも耳を傾けました。今年初めて引き受けた風呂焚きでしたが、読書をしながら薪のささやきに気づいたのです。かすかな音なのに、騒がしげに聞こえました。それは、薪に巣食ったヅイムシが盛んに木を虫 が食む音と判断しました。

キハダの剪定。3つ持っている三脚脚立の1番軽いのを用いて剪定ができるように、少し小さく切り込みました。この三脚脚立なら、85歳まで裏庭で操作できるであろうと見ています。

長さが15cmもあったナメクジ。体積で言えば、普通のナメクジの10倍はあったと思います。ハッピーの小屋の前は玄関の側壁ですが、そこにいました。ハッピーは見知らぬ人や相手が犬なら飛び掛らんばかりに吠え立てるのに、このナメクジには怯えていました。今から思えば、ケンと金太にも見せて、どのように反応を示したのか確かめておくべきであった、と反省しています。竹やぶに捨てて逃がした後でした。

庭で実ったカラスノマクワ。この植物は庭のあちらこちらで生えていますが、赤く稔ることはめったにありません。蔓が邪魔になりますから、庭木の剪定のたびに抜いたりちぎりとったりしてしまうからです。この根にできる球根は、天花粉の原料です。