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ポスト消費社会の旗手たち 09/03/01

 日曜日の朝、庭でウグイスが初鳴きです。妻によれば、もう少し山手にある散歩仲間のお宅では数日前に鳴いたとか。白梅も5部咲きで、日曜日には「もう春だ」と思ったのに、その後は一転して寒くて雨勝ちの日が続くようになりました。アロエや弁慶草が揃って花をつけています。

 電話や郵便物の多い週でした。大部分は近著に関わっており、商社時代の先輩から「京都コーナーで見かけた」と知らせてもらうことから始まりました。「肩の力が抜けていて、よい」と褒めてもらう電話もありました。思えば、著作活動はバブルが始まった1986年から手を付け、バブルが本格化した1988年に『ビブギオールカラー ポスト消費社会の旗手たち』との一書を生み出すことから始めており、肩に力が入りっぱなしでした。経済学者がバブルを囃す中で、工業社会の終焉とポスト消費社会の到来を説き、それを「次の繁栄に結び付けよう」との提唱ですから、しんどかった。未来透視が外れないように、ずいぶん時間と精力を費やしたものです。

 外出と来客の多い1週間でもありました。丹後行きも含めると7回も外出しており、終日家に居たのは週初めの2日だけでした。友の一人が母を失い、そのお通夜。病院での定期健診。昨年から始まった 同志社大学での学び直しプロジェクトの評価委員会。神戸時代の友との久しぶりの懇親。あるお寺で大豆を引き取り、ある養鶏センターに搬入し、前年度の実験結果の聴き取り。そして週末は、地元で持ち上がっている反目の解消を願った折衝、と続きました。主たる来客は、農業の工業化を反省する公的なプログラムを進めている人と、7月に迎える日食の日を皮切りに、私的なプログラムを全国展開しようとしている人でした。まお、大豆の一件は、節分に奉納された大豆を養鶏に生かす実験で、昨年から始めています。それまでは焼却処分していました。

 そのようなわけで、庭仕事はさっぱり進みませんでした。外出や来客の合間の雨上りを生かしただけで、除草と短い2畝の仕立て直しにとどまりました。仕立て直した畝には、末(うら)成りのようなニンジンと自然生えの交配野菜が思っていたより多く残っていました。ですから今週はニンジンと青菜を活かした惣菜がよく出ました。その多くは初めて見る調理で、しかも味付けが良かったので堪能しました。除草は、スズメノカタビラやハコベなどが花を付け始めたので急かされています。とりわけわけスズメノカタビラを目の敵して抜いています。

 丹後出張で、希望にあふれる思いがしました。日帰り講演のために出かけたのですが、1日延長して翌土曜日の昼過ぎまで念願の見学に割いたのです。生ゴミをメタンガスの発生源にして発電するバイオ発電実験設備と、森林の牧場を訪ねました。バイオ発電実験設備は大きなもので、日に35トンの生ゴミを処理する能力がありますが、今は25トンにとどまっています。メタンガスを発生させた後の残滓は肥料にされていました。森林の牧場とは、牛の放し飼いを試みる山のことです。牛に山の下草刈りと施肥係を引き受けさせ、山では育つ樹種の選別に入っているようでした。コナラなどはシイタケ栽培に生かそうとしている、と見ました。

 森林の牧場には付属施設があります。省エネルギー建物の実験をしながら、森林の牧場が生み出す牛乳やソフトクリームを販売する施設です。実は、このなんとも高価な牛乳がよく売れる秘密を知りたくて1日延ばしたようなものですが、得心しました。この需要は、美味しさだけが支持されているだけでなく、ポスト消費社会の旗手たちが関わっているからだ、と見ました。丹後にはかつて表日本であった遺跡や伝説のほかに、未来を予感させる施設が加わっていたのです。

 妻はあいかわらず多忙です。5月に迫った大丸京都店での個展に備え、このところ人形作りの追い込みに入っていながら、その合間を縫って今週は味噌を漬け込んでいました。
 
クリスマスローズが盛りに入りました。庭にはクリスマスローズがたくさんありますが、さらに追加しようと思って苗を買いに出かけましたところ、とても高くなって見合わせました。今はブームだそうですから購入はしばらく控えます。庭では種から芽生えたクリスマスローズを見つけました。

弁慶草(右)やアロエが花をつけました。友の家では、育てているアロエがすべて花をつけたとか。このようなことは初めてだ、といって少し不安げでした。何かの前兆でしょうか。

なんとも美しいバラを、また送り届けてもらいました。この前に届けていただいたバラのうち、黄色いバラがまだ残っています。妻は友に少しずつおすそ分けをした上で、アイトワの喫茶店を飾らせます。

大豆を持ち込んだ施設の実験鶏舎。これまではお金をかけて焼却していた大豆を、エコフィードにできないものかと考え、実験してもらっています。過去の1年でその有効性は判明しましたが、今年は肉質の良し悪しも確かめようと思っています。

京都府農業公園・丹後あじわいの郷の一角。どうしてこのようなところにこのような欧州まがいの施設を作ったのか、と不思議に思いました。同じお金を投じるなら、せめて丹後が「かつての表日本」の主要な地域であったことを体感させる施設にすべきでした。

バイオ発電施設。近き将来、これまでの「生ゴミの埋め立てや焼却処理」がいかに愚かであったのかを明らかにする1つの施設でしょう。我が家では45年前から、生ゴミを外部に一切出さず、経費をかけずに肥料にしてきました。この施設では、お金をかけて肥料にする前に発電に生かし、そのあとで肥料にしています。この投じたお金が割安感を与える日が、そう遠くない未来にめぐってくるに違いありません。

とても美味しいウーロン茶をいただきましたが、何煎も出した後の茶葉を妻は干します。干して冷蔵庫の脱臭剤として生かします。ときには佃煮にも生かすこともあります。