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農業と芸術と信念は三位一体 09/08/09

 この週末に、私は71歳になりました。この1週間は、この誕生日を覚えていた商社時代の後輩が訪ねてくれる他は、何1つアポイントが入っていませんでした。ですから、完全に夏パターンに切り換え、ゆっくりすることにしたのです。ところが、週初めに同輩の1人から「『京都嵐山エコトピアだより』を読んだ、最寄りの図書館に入れさせた」との知らせが飛び込んだのです。

 実は先週、アイトワ塾生の1人と楽しいメールのやりとりをしていました。塾生は「農業と芸術と宗教は三位一体」との言葉を教えてくれました。それはトルストイの言葉でした。かねがね私は、「農業と芸術と信念は三位一体」と考え、その気になれば誰にでもできそうな実践例を目指して来ました。それだけにこの同輩の知らせは嬉しかった。エコロジカルな価値観や美意識を共有していたように感じたのです。かねてから私は、この同じ信念で結ばれる人の線をエコロジー線と呼び、その線で結ばれる関係者が次第に多くなることを夢見てきたからです。

 先週末で、大学の講義のための予習はなくなりました。それも午前中から庭に出られるようにしたわけで、晴れの日は朝と夕方に庭に出る夏パターンを採用できたのです。早速月曜日は、まずテラスを飾る鉢植え作りから手をつけました。久しぶりで昼寝をし、午後の部の庭仕事は早めに切り上げ、妻の買い物についてゆきました。願いどおりに昔懐かしい黄色いマクワウリを見つけ、買ってもらい、それでプロシュートを作り、2人でワインを楽しみました。

 その夜、偶然TVで『タロージロー物語』を見ました。翌朝、ハッピーが久しぶりで庭にサルが来たことを気付かせました。即刻サルを追っ払い、思いっきりハッピーをほめました。火曜日・アイトワの休日に、庭めぐりの道標を補修していると予期せぬ嬉しいことがありました。先週知り合った家具職人の森さんが夫婦で訪ねてくれたのです。アルバーアルトの椅子が治ってきました。SunQ展の岡部さんの友人は見事な腕の持主で、「鷲鷹工芸」を名乗っています。その由縁も知りました。工房は鷹ケ峰にある。鷹は鷲鷹科の鳥。鷹ケ峰の他に鷲ケ峰という地名もあった。

 庭仕事ははかどりました。旧玄関前の手入れを済ませました。それはミヤコワスレをリフレッシュする作業です。マキノキを切ったときに、駒切りを放置していましたが、やっと正規の場所に移動させました。草刈りもはかどりました。ポポーの周りだけでなく、畑の南側にある柿の木の周辺も刈り取りました。そしてサルが不気味がるように、針金のわなも仕掛けました。

 畑仕事もはかどりました。第1次のナスを切り返し、第1次のキュウリのつると支柱を解体しました。草抜きもしました。イネ科植物の野草が穂を出す時期です。トウモロコシにサル脅しの防鳥ネットを張ったおかげか、収穫が始まり、毎日1本ずつ楽しみ始めました。でもここまででした。

 週の後半はバテました。歳だなあと思います。でも、幸いなことに、院生の小論文を第一次評価する仕事が舞い込み、丸1日を要しました。HPの整備にも手をつけました。喫茶店の情報が少なすぎると教えてくれる人があったからです。庭めぐり地図もリフレッシュすることにしました。そのようなわけで昼寝どころではない日々になりました。しかも楽しい週末が待っていました。

 SunQ展の岡部さんが、パタゴニアのスポーツシャツを持って、次いで約束していた元部下はカステラを手土産に、訪ねてくれました。妻もこの後輩と机を並べた仕事仲間です。彼は中国・雲南省にあるシャングリラを訪ねた折の思い出話を携えて来ました。私は4年前に、「あの山の向こうにシャングリラが」というところまで踏み入っています。いわばシャングリラは、私が願うエコトピアの原型です。妻も交えて、4人の会話はおおいに盛り上がりました。この2人とそれそれ近き未来に実施する楽しい計画を語り合うこともできました。

 
道標の作り変え。SunQ展の岡部さんが作ってくれた番号を入れた道標(右側)は、とても便利になりましたが、1つだけ少し読み取りにくいところがあると指摘され、作り変えました(左)。4番目の道標で、2つの出口のいずれかにいざなう道標です。

マキノキの駒切りを正規の場所へ移動させました(上左)。太い部分はストーブの燃料置き場に運び(上左)、後ほど積み上げました。細い部分(中)は風呂の薪置き場に移動させます。たったこれしきの作業ですが、加齢とともに面倒くさくなってしまうようです。ちなみに、頭を切り取ったマキノキの方は、無事に芽を吹き始めました(左)。

痛んだアルバーアルトの家具が見事に治ってきました。その1つはどこを直したのか分かりません。もう1つの方(写真)は、直したところが一目瞭然で、私はおおいに気に入りました。大事に使っている気分になれますし、大事に使いたくなります。それよりもなによりも、顔の分かる人が顔の分かる人のために直したものですし、世界でたった1つしかない代物に生まれ変わったわけですから。

ナスの切り返しも終えました。やがて新芽を出し、秋口にはまた皮が薄くて美味しいナスを提供してくれることでしょう。折りよく第2次のナスの収穫期に入りましたから、今年は秋口まで庭のナスを切らさずにたっぷり楽しめそうです。

畑の南側に植えている富有柿の根元一帯の草を刈り取りました。ヤブカラシなどの蔓が好き放題に延びていましたから、半日がかり係で刈り取りました。見通しが良くなり、サルに襲われにくくしたはずです。その上に、針金の脅しを3箇所にとりつけました。この半日の作業が、暑さとあいまって、老体をバテさせたようです。

トウモロコシは水曜日から本格的に収穫がはじまりました。初日は脚立にのぼって取りましたが、2日目からはのぼらずに済ませる採り方があることに気付きました。「これはサルには真似られんだろう」といって、妻に笑われました。

元部下が携えたシャングリラ(桃源郷)で描いた水彩画です。エコトピアは、それぞれの地の古(いにしえ)人の知恵と近代科学の成果を上手に掛け合わせて生み出されるものです。その上手な掛け合わせ方は、それぞれの信念の賜物です。その信念と信念を結びつける糸をエコロジー線と呼んできました。シャングリラを夢見て創ったアイトワ(右)。