アイトワのホームページ
アイトワ循環図
雨と2つの山 09/11/15

 火曜日に、この秋の「山の1つ」を越えました。「いきいき」ツアーです。11時に45人の人たちを迎えました。私の役割は、この庭を創り上げた狙いや意義の説明と、10数人ずつ3回に分けた庭めぐりの案内、そして最後は2時間にわたるトークと質疑応答でした。妻は、仲間に助けてもらい、庭の食材を生かした昼食やウェルカムドリンクを用意することと、最後はトークと質疑応答に合流することでした。午後4時半に皆さんを見送ったあと、私たちもお客さんに振る舞った松花堂風の弁当にありついたのですが、思わず「なんとか無事に終えられた」とつぶやきました。

 とても雨を心配していたのです。雨が降るか振らないかで庭の手入れの仕方が変わります。確実に雨と分かれば、傘をかざして大勢の人に動いてもらうために、たとえば雨に濡れて垂れ下がりそうな枝を切りとるなどの必要があります。しかし、2日間にわたる庭掃除は、ほほに触れかねない小枝を残したりする晴れバージョンを選んでいました。結局雨は、屋内での質疑応答の頃から気になる降りになり、「ヤレヤレ」と胸をなでおろした次第です。

 これで4回目の「いきいき」ツアーでした。今回の特色は、まずご夫婦連れが多かったことです。次いで、秋田、千葉、山口などと遠方から参加された人や、昨年度のツアーを希望しながら選に漏れ、1年間お待ちいただいた人などがおられたことが分かりました。こうした人たちを見送り、遅いお昼をとったあと、私は母屋の居間で眠りこけました。ホーム炬燵を出してもらい、横になって新聞を読み始めたのですが、2時間も眠り込んだのです。

 翌水曜日は終日雨になりました。そこで、週末に迎えるもう1つの山に備えました。講演のダブルヘッダーです。1つは昨年の今頃入院した病院の患者仲間が対象で、他の1つは地元の人たちが対象でした。前者は、未病を大切にするために患者を組織した勉強会と見ましたが、この病院が町医者との連携プレイを重視していた点がとても印象に残りました。後者でとりわけ嬉しかったことは、90いくつとおっしゃる幼稚園の先生と再会できたことです。65年も前の園児を覚えてくださっていたことも嬉しかったし、当時の美しい面影を保っておられたのも嬉しかった。

 このダブルヘッダーでも雨を心配しました。晴れた木曜日は庭仕事に着いたのですが、天気予報が「週末は雨」になりそう、と報じ始めたからです。幸いなことに、雨は半日あまり早まって当日の朝方に上りました。おかげでこのダブルヘッダーには大勢の人に集まっていただけましたし、なんとかうまく話せたと思ったのですが、妻に叱られました。後者の会場には妻の運転で出かけたのですが、帰路「あれでは誤解を呼びます」たとえば「資源ゴミや喫茶店で出る生ゴミは出しているし、喫茶店のし尿は下水に流しています」また「お茶もすべて自給しているかのように聞こえました」などというのです。しまったと思いましたが、後の祭りでした。

 庭仕事は結局、「いきいき」ツアーを受け入れるための庭掃除、スモモの木の剪定を半分済ませたこと、そして鉢植えのサクラソウの植え替えをした程度で終わりました。でも、2つの山の他にとても印象的なことが2つもありました。1つは、楽しい人を誘って夫婦で夕食に出かけたこと、他の1つは幼馴染とあるお寺を訪れたことです。楽しい人とは、同志社大学での講義で助手をしてもらった人のことです。先輩の大工さんと一緒に招きました。あるお寺とは、嵐山の中腹にある千光寺・大悲閣でした。千光寺は、遠望する姿と、中に入ったのとでは印象が大違いでした。

 今は少しあせり気味です。雨にたたられ、スモモの剪定が途中で止まっているからです。これを先に仕上げるべきか、来春の開花に備えた球根の植え付けや、エンドウマメの種まきを先にすべきか、と悩んでいるのです。クルミの苗木も早く植えつけたい。


 
「いきいき」ツアーでは、ウェルカムドリンクとして生姜ティーを用意しました。このレシピを教えてほしいという人が大勢おられ、スタート時点からとても盛り上がりました。

松花堂風の弁当。食べ残しをした人がいなかったようで、てんてこ舞いをして用意した妻とその仲間はとても嬉しかったようです。

晴れバージョンの庭の一角。雨と事前に分かれば、垂れ下がる枝を支える竹の支柱も取り除いておくことが求められそうです。大勢の人に、傘をかざして連なって歩いていただくには、こうした支柱は情緒ではなく、邪魔になりそうです。

幾つかの初めてみる蜜リンゴをもらいました。「いきいき」ツアーの後の遅い昼食のデザートで味わいましたが、美味。赤リンゴというより、黒リンゴと呼んだ方がよさそうなほど濃い赤色でした。また、庭で採れまいた、といってたミカンをもらいました。小さなミカンですが、とても濃い良い味でした。
火曜日の晩酌の肴になったヒオウギガイ。友人が南紀で捕ってきたといって幾つか届けてくれました。遅い昼食と、午睡の後、まだ眠気から覚めやらぬのに、そそくさとお茶漬けと晩酌で仕上げ、床に就きました。ヒオウギガイは帆立貝と姉妹関係ではないでしょうか。これまではきれいな色の帆立貝、と思って食していました。

スモモの剪定は木曜日に手をつけましたが、翌金曜日が雨になり、今中途半端で終わりました。今回は、加齢対策として、大胆な剪定方法を採用したものですから1日で終えられなかったのです。枝の太いところから切り落とし、以降の剪定の手間を3割がたは減らそうとしています。落ちたときにドスンと音がするほど太い枝も切り取っており、後始末も大仕事でしょう。

千光寺・大悲閣から見る東山は正面に比叡山がそびえています。絶景。これまでは保津川をはさんだ対岸の、小倉山の展望台から眺めていましたが、そこからでは知りえない険しさでした。近付くにつれて、急峻な崖にあるこのお寺はとても貴重な文化財だと思いました。帰路に裏道を選びましたが、嵐山とはよく名づけたものだ、と思いました。