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までい と 初めて 11/06/26

 週初めは、8人の助っ人学生を迎える日でした。曇りのち雨の予報でしたが、リーダーの高野さんに「実施」と7時半に返答しました。初体験の学生が多いと聴きましたから、雨になれば屋内に避難し、アイトワで過ごす意義や期待を話しあうことにしたわけです。

 10時前に揃って到着した8人を見てビックリ。なんと6人が女子学生で、うち5人が新顔だったのです。実は、前日の間に、囲炉裏場までの小径の草を刈り取るなどして、3つの作業を用意していました。囲炉裏場の地上げ、野小屋の整理、そして草を刈った小径の傾斜部分に一輪車道を設ける、の3つです。これらに手分けして取り組んでもらい、出来るところまでやってもらったあとは、私が引き継いで仕上げる心積りでした。

 囲炉裏場の地上げとは、雨天であれテントを張れるようにする震災対策で、残る2つは加齢対策です。野小屋の整理は、加齢に伴って収納方法の変更を迫られていたのです。一輪車道の設置は、荷を積んだ一輪車を非力になっても押し上げやすくするためです。こうした作業を通して、天災や加齢を覚悟しておく青年になってもらいたく思っています。

 結果、雨は降らなかったのですが、囲炉裏場の地上げに集中してもらいました。野小屋の整理は、処分すべき木材を取り出すだけで終えてもらい、一輪車道の設置は後日に回したのです。つまり、囲炉裏場の地上げを、何回かに分けて学生の手で最後まで仕上げてもらうことにしたわけです。それは、仕上がるまで相当の期間にわたって囲炉裏場が使えなくなる勘定ですが、その不便をしのぐだけの価値がありそうだ、と見たからです。

 学生の声や仕事が発する音をBGMのように感じなら、私も結構きつい仕事を次々とこなしました。キャベツを抜いて堆肥の山に積み上げ、その跡をスコップで掘り返して畝に仕立て直し、2回目のインゲンマメの苗を植えつけたりする作業です。

 翌月曜日から梅雨らしい雨や曇天など不安定な天気が続きました。また、毎日のように来客がある出入りの多い1週間でした。8人の学生の来訪から始まり、これから妻と、トッテン夫妻に誘われた夕食に出かけようとしています。この間に、岡部さん、童話作家の今関先生、丹後で知り合った藤本さんとその家族、杉の青枝拾いにみえた祐斎さんの弟子、大垣市の顔見知りの職員、博士論文のテーマに「エコトピア」を選んだ東京の家庭婦人、そしてミツバチの師匠、などと迎えており、23日は滋賀県の守山に出かけています。

 庭仕事は、その合間を縫って励んだわけです。雨になると温室仕事です。天声人語で知った「までい」という言葉を思い出しながら、まず花期を終えた植木鉢の土の整理。その土を用いて、中国ホウセンカの苗を植え付ける3つの大鉢を用意。雨の合間や陽が射しだすと、一雨ごとに大きくなる木々の小枝摘み。キュウリなどもぐんぐん伸びますからその蔓吊り。野小屋の整理で出た材木の移動。イノシシが開けた穴塞ぎ。テラスの模様替え、などと次々とこなしたわけです。とはいえ、「もう歳じゃ」と落ち込んでもいます。とりわけ、曇天の夏至の22日はきつかった。往年の3分の1ほどしか仕事がはかどらなかったのです。昼食と夕食の前に2度も残り湯で行水。食い気どころではなかったのです。夜のテレビで「今年最初の猛暑日」と知り、少しは気を持ち直しています。

 初めて知ることが多かった週でもありました。ホトトギスは深夜の3時までさえずっていたのです。マクロビアン料理を味わうことができました。妻が私の前で独唱したり、妻に脚をもんでもらいながら知らぬ間に眠ってしまったりしています、など。

囲炉裏場から、ツルハシとかスコップをあやつる音やコンコンという瓦を割る音が延べ数時間にわたってリズミカルに響いてきました。瓦を、吸水性の高い増量材として埋め込むことにしていますが、古瓦は乙佳さんに届けてもらったものです。雨水が流れ込まない一段高くて、しかも水はけの良いスペースを造ろうとしています。

野小屋で保管していた中古の木材。野小屋を造った頃は、何かに活かせそうだと考えていましたが活かせなかったし、加齢とともに活かしがたくなる、と気付かされ、燃料にすることにしたのです。これら木材を取り出してできた空きスペースを、次回学生を迎えるまでに活用しておき、この作業の意義に気付いてもりたく思っています。

写真に収まるのが「イヤ」という学生が撮ってくれました。白髪染めを止めて久しい妻ですが、白髪染めを止めて何かから解放されたようです。この日は夕刻に、私の前で独唱したいと言い出しました。そこはわけがあって音響効果に配慮した部屋ですが、時々一人で歌っている、とのこと。「うさぎ追いし」を途中まで歌いました。

まず鉢の土を取り出し(写真左下)、底に敷いてあった発泡スチローをより分け、再利用します。次いで土を篩(ふるい)でこしとります(右上)。その残りカス(左下の)を、大きめの石、小石、そして花期を終えた根などの残滓に分けます。小石は金太の小屋の周りなどに、残滓は肥料として竹やぶなどにまきます。決して土は捨てません。この短調な反復作業を毎年、幾度も繰り返してきましたが、「までい」という言葉を知って、より穏やかな気分にされています。

今週最初の贈り物。トビウオの一夜干しは、初めて口にしましたが、とても美味しい。先週のいただき物にホタルイカの干物がありました。これも初めて口にしましたが、噛めば噛むほど味が出る、とはこのことでしょう。酒の肴にピッタリです。

木製の植木鉢は、使用後は干して、内部に防腐剤を塗ります。こうして長持ちさせ、エイジングの美しさを愛でたり、世の中に2つとないシロモノにしているような気分になったり、とご満悦の心境になります。

守山で食したマクロビアン料理。過日訪ねて下さった村上夫婦に招かれていたのですがが、このたび実現しました。『次の生き方』を読んで以来、アイトワのような生き方を目指している、と言ってくださるご夫妻ですが、マクロビランチまでご馳走になったのです。想いを同じにする人と触れ合う心地良さを満喫した1日でした。