絶対にありえない
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「絶対」という言葉は、私は「この世に生まれしモノは、絶対に死ぬ」という場合にしか使えない、と考えている。それだけに、その目には、北朝鮮をいたずらに刺激して囃し立て、国民を不安に陥れ、うろたえさせる首相のやり方は許しがたい、と映る。 しかもそれが、私欲に目がくらみ、都合よく国民の目をそらせるためであり、さらにそれが、真の危機に国民を陥れかねなくなっているだけに、「絶対に」それだけはやめてほしい。 まず、北朝鮮のドンをシメシメと喜ばせている。日米が繰り広げる合同軍事演習などを北朝鮮は威嚇として国内で囃し、軍備増強を加速させる。それがドンの求心力の源泉であり、最大の保身の手段にもなっている。要は、軍隊は常に、命令権をもった人の私兵と化しかねないものだ。だから好機と見て、その準備を巧妙に推進させる。 太平洋戦争時代の日本を思い出す。国民は日本の軍人に一番おびえていた。憲兵も怖かったが、もっと怖かったのが(過日できた共謀罪法案の戦前判に基づき国民を縛った)特高だった。 国民が国民同士で「非国民」とか「それでもお前は日本人か」と非難し合う空気が教育勅語んどによって醸し出されており、特高が駆けつけるのを怖れてピリピリした。 ある家は、灯火管制をしくじり、たった一灯の40色の光を漏らし、交番に告げられ、出頭を命じられた。近眼の息子が出向いたが、帰宅時はビッコを引き、メガネは粉々、顔は赤紫色で2倍ほどになっていた。やがて学徒動員。生きて帰ったが、奇妙な癖が残った。側の人が何かのしぐさで手をあげると、反射的に頭を両手で抱え込む癖だ。 軍隊は常に、命令権をもった人の私兵と化しかねない。だから前防衛相は、苦戦気味の東京都知事選の応援で力み、スゴンデ見せたのだろう。私の命令一下、立ちどころに動く自衛隊員が命令を待ち構えている、と言わんばかりにスゴンデいた。 それはともかく、本来の首相のあるべき姿は何か、いかにあるべきか、を問題にすべきだ。国民を恐怖心に陥れ、浮足立たせるのが役割ではない。いわんや小学生に、学業まで放り出させて頭巾までかぶらせ、戦時中のような訓練までさせるなんてことは、あってはならないことだ。 北朝鮮の先制攻撃は「絶対にありえない」「うろたえるな」「学業に励め」と国民を諭すのが役割だろう。念には念を入れて「絶対にあり得ないこと」だ、と国民に得心させる努力が先決だろう。外交努力をすべき最高責任者の立場ではないか。 もし、北朝鮮がミサイルで日米に先制攻撃でもすれば、北朝鮮はたち所に全滅同然になる。アメリカは、地球上の高等動物をことごとく死滅させて余りある兵器を有している。もし北朝鮮が先制攻撃をすれば、そのアメリカに、反撃する口実を与えてしまう。それぐらいのことは北朝鮮も先刻承知だ。 問題は北朝鮮に、我々(テロリストに狙われかねない国々の人々)の不安を見透かされていることだ。その不安とは、テロリストに核兵器を持たせたときの危険性だ。首相はその不安心理を逆手にとり、北朝鮮をテロリストの権化かのごとくに演出するが、それはあり得ないことだ。 先制攻撃や奇襲する気があれば、もっと秘密裏にコトを推し進め、ロケットの成功事例など誇示しないものだ。だから逆に、かつて私は心密かに恐れていたことがあった。北朝鮮のドンは、姿を隠すテロリストと違い、時としてその姿を露わにするからだ。 その恐れとは、シリアに数十発のミサイルを打ち込ませたトランプが、通常爆弾を装備した数百発のICBMを、北朝鮮のある一点に向けて打ち込ませるのではないか、との不安だった。その一点とは、北朝鮮の軍事記念パレード会場の雛壇である。いったん始まるとそれからICBMを打っても十分間に合うほど続く。その情報を得て、ドンがおびえて慌てようものなら、威嚇パレードは逆効果となり、タガをゆるませ、一番ドンが恐れていることに結び付けかねない。 もちろんこんなことはあってはならないことだ。だが北朝鮮は、これはあり得ないこととは考えずに緊張し、さまざまなことを考えているに違いない。そうした緊張感と、日米が仕掛ける威嚇がない混ぜになって、ドンへの忠誠心を異常に膨らませてしまう人を出しかねない。そして瓢箪から駒のごとき忖度問題を生じさせかねないとも限らない。 それが、絶対に(日本国民の身の上には)生じないとは言い切れない危険なことを現実化させかねない。この危険性だけは首相に、絶対になくしてもらいたい。 原発とは「他国のための核弾頭」である、と脱原発訴訟の支援をライフワークにすることで高名な弁護士は語る。原発1基が1年間稼働すれば、広島型原爆1,000個分の放射性物質が溜まるとされる。だから、なぜ総理は原子力発電所をとめないのか、叫ぶ。政府はミサイル危機を強調しながら、それによる原発事故の危険性に言及していない、と訴える。 この放射性物質をばらまかせるにはミサイルなど不要だ。海岸線近くにある原発に秘かに船で近づき、迫撃砲を打ち込むだけで充分だろう。そのような暴挙はあり得ない、と私たちの中に断言できる人がいるだろうか。テロリストの心は読みがたい。原発を止めることこそ先決だ。 逆に現政権は、朝鮮半島の人民に悪しき刺激を与えており、恨みを買うことを多々している。加えて、わが国はアメリカと組んで北朝鮮への威嚇行動を重ねている。それは逆効果であることを知ってのことだろう。かつて日本はアメリカに石油を断たれたことがある。その時に、国民はそのようなことをさせる政府に愛想をつかさず、逆に国民もいきりたち、奇襲攻撃成功に沸き、株価を踊らせた。石橋湛山は「小日本主義」を唱え、満州はもとより台湾や朝鮮半島なども放棄して繁栄する可能性を解いた。戦後の日本がなしえた繁栄の可能性を説いていた。だが人々は反応を示さなかった。 3人の、それぞれ不安を抱える権力者が、あらぬ騒ぎをはやし立て、我が身の保身に走っている。それぞれ事情は異なるが、一番巧妙なのがわが首相のやり口だ。 仮に、モリやカケ問題で首相が白であったとすれば、多くの人がクビになっていただろう。国家権力で私生活まで調べ上げ、プロパガンダ・ィアにリークして2度と立ち上がれないようにさえしていただろう。つまり、納税者の知る権利をうやむやにするという民主主義に反した人を放っておくはずがない。現実は逆だ。国税局長官に栄転させたり、主要大使館に異例の栄転をさせたりした。 このたびまた、モリ問題でまた新たな疑惑が出た。「案の定」北は示しあわせたかのように1発発射。それがいかにも身に迫る危険であるかのようにしらされた国民の多くは、目をすっかりそらされてしまった。国民をいたずらにうろたえさせる演出が逆に、あってはならない危険性を、それだけ余計に高めさせているように私には思えてならない。 |
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それでもお前は日本人か |
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脱原発訴訟の支援をライフワークにすることで高名な弁護士 |
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モリ問題でまた新たな疑惑 |
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