「ココアの香りするコンポスト・トイレ」

(株)アンビエックスが設計した戸建住宅の見学会があり、この日曜日に出かけてきた。聴くところによると、菜園好きな施主のリクエストに応じて、とうとう都内で「コンポスト・トイレ」を導入してしまったらしい。

15歳まで、秋田の山奥、百姓家のぼっとんトイレで育った私は、どうもこれに興味を惹かれてしまうのだが、結局、まじめに調べることもなく今日まできてしまった。

相根さんはお忙しい方なので、この手のお誘いはいつも開催直前となるのであるが、それでも彼の周りには熱心に勉強する人が多いので、それなりに人が集まってしまうのが常である。

さて、本題に入る。

便器はよくあるTOTO製のウォシュレットまでついたものだが、中は、このように深くなっている。 この下には、コンクリートのピットがあってオガクズが入っており、中には、攪拌機がすえつけられている。
ようをたして、この攪拌機のスイッチを押すと、それがグルリとゆっくり1回転して、自分のしたものはオガクズに紛れて見えなくなってしまう。


このトイレは洗浄の為にジャバジャバ水は使えない。勿論、その方がエコロジカルなわけだが、便器にモノが付いてしまった時が問題となる。その対策が、このスプレー・ガンである。これで、しゅっとひと噴きすると、モノは落ちて便器はきれいになる。

因みに、このコンポスト・トイレは生ゴミ処理もOKである。ある程度細かくして水分をとれば、ここに放り込んでお仕舞いである。

さて、こうして導入されたモノは、オガクズと混ぜられたゆっくり攪拌されることで、土着菌が活性化されて堆肥化してゆく。そして、2?3ヶ月かけてゆっくりとピットの反対側の取り出し口まで移動してゆくこととなる。

取り出したモノは、相根さんいわく「ココアの香り」がする良質の肥料となっていて、菜園にそのまま使える。そして、取り出した分だけ、またオガクズを補充しておけばよいのだそうだ。全体的に臭いは殆どしないんだそうだ。よく出来ている。


もう一つ、この家でとても気に入ったのは、パッシブ縁側である。


家は、昔の農家風に全体がおおきな切妻屋根となっていて、ふすまを取り外すと殆ど1つの空間になる。その他、こうして縁側空間を設けて、更に、ブラインド付きの天窓を並べている。日差しの強い時は、これを閉めて直射を防ぎ、逆に気温の低い時は、窓を開ける。床はカラマツのムク材だが、その下に土とコンクリート、シリカブラックを混ぜた蓄熱帯を設けることで、温かさを保てる構造となっている。更に、日当たりもなく寒い時は、障子を閉めるという仕組みである。

相根さんのこだわり尽くした建築について語りだすと、終わらなくなってしまうので、今回はこれくらいで止めておいて、本人に直接サイト上で話して頂くことにする。



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