「シュタイナーづくしの旅」01/08/22
コンデンス・ミルクを1リットルもイッキ飲みした気分とでも言えばよいだろうか。濃おおい旅だった。
もともと私は、感じやすい性質で(変な意味ではない)、何かにどっぷりハマっては痛い目つくまで目が覚めず、そういう経験を重ねて少しは何か学んだような気もするが、やっぱり今回も懲りずにズッポリとハマってしまいそうである。
そもそも、話の成り行きの中で、我々が言い出した旅行だったのだが、旅程は上松祐二さんと子安美知子さんにほぼ全部組み立てていただいた。
そうして、スウェーデン、ドイツ、スイスのシュタイナー関連の施設を10日足らずで次々とまわったのだが、行く先々で、その国の代表クラスの方や現場の責任者のような人達が、付きっきりで、手厚くアテンドして下さる。「歓迎」という言葉をどこか超えている。特に上松さんとは30年以上も親交のある人達が少なくないのだ。
「あのユージが素晴らしいプロジェクトの話をもって、仲間を連れてやってきた。とうとう日本でも本格的に動き出しそうだ。先輩として、プロジェクトを実現させるために、大事なことは全部伝えよう。」
皆さんがこんな気持ちで我々に接してくれているようだった。
「シュタイナーはこんなに偉い人だった」なんて誰も言わない。ただ自分が何を思い、何を作り上げ、いまそれがどうなっていて、今後どうしたいかを淡々と語られる。そして、ゼロから成し遂げたものを目の前に突きつけられて、こちらは、ただ、うなずかずにはいられない。
個別の事柄は、まとめて随時書いていこうと思うが、アントロポゾフ(人智学派)に共通することは、人間理解の深さではないかと感じた。
特に、障害者教育の施設では、それをしみじみと思った。キャンプ・ヒル運動として世界中に広がっているその取組は、養護学校を運営しながら、学校の周りに家庭を意図的に作り、世代の違う生徒が、親代わりの人達と一緒に普通の家庭の暮らしをするものだ。福祉の世界を詳しくは知らないが、ノーマライゼーションのはしりに違いない。そこでは、通常の施設では手に負えないために送られてきて、他に居場所はないという子供達も少なくないそうだが、そうした人達をアントロポゾフは、「魂の保護を必要とする人達」ととらえて一人一人を全人格的にうけとめて生きる手助けをする。今回は、夏休中だったのでそうした子供達と直接接する機会は殆どなかったが、たずさわる人達の語る言葉から、その真摯な取組の様子がひしひしと伝わってくる。
「こういうの日本でもほんとにやらなあかんよ。」
上司がボソリともらす。
上松さんが言っていた。
「体や心は傷ついても、人の精神というものは、傷つきようがないんですよ。」
子安さんは、こう言っていた。
「シュタイナーの世界でも問題は沢山ありますよ。でも大事なことは、問題から目を逸らさずに、真正面から向き合うって事なんです。」
こうして、たまには中村さんに習って、もうちょっとライトなノリで書こうかと思っていたが、やっぱり出来ないのであった。チャンチャン。
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